三月一日。
三いの日。

昨日うpしようと構想練ってたらまさかの寝オチ。

うん…ごめん、孫兵。

なのでこの話も寝オチから始まるんだ。

ろとはも出来るかはまだ不明なんだ(笑)

[0回]

｢………｣

ぴちち…と鳥の鳴く声。
散乱した色とりどりの色紙。
雑魚寝で沈没している四人を眺めて富松作兵衛は眉間に手を当てた。



｢ちょ、も、作兵衛！気づいたなら即起こせよ！！｣
藤内が散乱した折り紙をかき集めながら喚く。
｢俺も気付いたのさっきなんだよ！！まさかいつの間にか全員寝ちまうなんて思わねえだろ！？｣
作兵衛も風呂敷に折り紙を集めながら喚いた。
｢作ちゃんも藤内も喚く暇あるならそこの方向音痴二人押さえてくれないかな？｣
数馬も折り紙を集めながら今にも外に出そうな二人に苦無を投げた。

｢さも～ん？さんのすけ～？君達どこ行く気かなぁ？｣

にっこにこと数馬が笑う。

｢まごへのとこだ！！昨日一日会ってないからな！｣
｢左門一人じゃ迷うから、付添い｣
得意げに二人は言うがそれだと被害が無限大だ。

｢後でみんな一緒に行くから、これ集めろ｣

眼光鋭く作兵衛が言い、左右から数馬と藤内で二人を押さえた。

｢ちゃっちゃと直しちゃうよ～｣
｢出来れば朝食前に渡したいからな｣




いつものように生物小屋で孫兵は餌をあげたり掃除をしたりと、実に甲斐甲斐しく行っていた。

｢今日もみんな元気だね。寝てるけど｣

そうしてふと、孫兵は首を傾げた。
そういえば昨日誰一人見かけなかったな。

いつも自分の周りでわいわい騒いでいる五人を思い浮かべる。動物界脊索動物門脊椎動物亜門哺乳綱霊長目真猿亜目狭鼻下目ヒト上科ヒト科ヒト属ヒト種…俗に言う人間の中では結構好意的に取れる、と孫兵は思う。
三月と、暦の上では既に春だが、山奥にあるこの学園はまだ肌寒く…いつも首に巻き付いている愛しい存在はまだ冬眠中だ。

だから孫兵にとって春は待ち遠しい季節だ。

｢早く暖かくなればいいのに…。ねぇ、ジュンコ｣
彼女が冬眠しているであろう場所に視線を向け、ぽつりとつぶやいた。


｢まーごへー！｣
人一倍元気な左門の声に孫兵はそちらへと振り返る。
｢おはよう孫兵｣
｢おはよー｣
｢部屋に行ったら居ないんだもん｣
｢まああとはここ位しか思いつかなかったんだけど｣
｢…おはよう。みんな。何か用でもあったの？｣
小屋を出てそう言いながら、孫兵は作兵衛の背中の風呂敷を不思議そうに見つめた。

｢本当は昨日渡したかったんだ！｣
左門がそれに気付いて口を開く。
｢でも作っているうちにみんな寝ちゃって｣
ごめんね～と数馬が謝る。

作兵衛が風呂敷を下ろす。
ぱっと結び目を解くと色とりどりの虫や動物を折った折り紙が溢れ出す。

｢昨日は三月一日だったでしょう｣
藤内が笑う。
｢三、一(い)、で三年い組の孫兵の日、って左門が言い出してさー｣
三之助が赤い色の蛇を取る。
｢まだジュンコたちも冬眠から起きてねぇから、折り紙ででもって数馬が｣
作兵衛が広げた中身が風で飛ばないようにと、もう一度包み直す。そうしてそれを孫兵に渡した。

｢一日遅れたけどよ、俺たちの気持ちだ。早くジュンコたちが起きて賑やかになりますようにってな｣

孫兵は自然と口元が緩むのを自覚する。

｢ありがとう｣

その言葉を孫兵が口にすると、みんな嬉しそうに笑った。