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色々ネタ置き場(主にRKRN)。 主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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後編。

全然タイトルに沿ってないんだけど(ギリギリ前編は沿ってたと思われるけど)。

そして私が書くと三之助が不憫になるミステリー。
これを書きながら三年生の(自分の中での)力関係が見えてきた気がした。

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「三之助~生きてるかー?」
ぺちぺちと藤内は三之助の頬を叩く。
「………何の反応もない。屍のようだ」
 ここに捨て置いていいかな。と思ったのは心の中だけにしておく。
 尚もぺちぺちと頬を叩き、おーいと声をかける。
「起きて自分で歩くなら、ちゅーしてやる」
「マジで!?」
 バッと意識を覚醒させて、三之助は藤内に飛びつこうするが身動きが取れない。体を見下ろすとしっかりと縛られている。
「冗談だ」
 にっこりと藤内は笑う。その笑みは非常に冷ややかだ。
「…藤内さん?」
「足の蔓は切ってやる。さ、行こうか」
 戸惑った様子の三之助を無視し、とても素敵な笑顔で藤内は彼の迷子紐を引き、先を歩く。

「僕…藤内は本当にS法だなって思う」
「奇遇だな。俺もだ」
「藤内のあれは無自覚だからね。私は無自覚同士お似合いだと思うよ」
「なあなあ、私たちも行こう。」
 三人は野苺を目指して今にも駆け出しそうな、きらきらと目を輝かせた左門を思わず撫でた。


 しばらく歩くと開けた場所に出、辺りには赤い宝石を散りばめた緑の茂みが一帯に広がっていた。

「こりゃすげえな。左門も数馬も藤内もよく見つけたな」
 感心した声音で作兵衛は言う。それに孫兵も頷く。
「私も結構歩いてるけど、知らなかったな」

「食べよう作兵衛!本当に甘くて美味しいんだ」
 左門は自分の迷子紐を持つ作兵衛の袖を引く。
「でも日が大分下がってるぜ」
 三之助が空を見上げ口を開いた。本当だね、と藤内も橙色に変わっていく空を見上げた。

「じゃあ摘んで籠に入れようよ。今度は不運じゃない人が持てばいいでしょ?」
 数馬がにこにこと提言する。
「摘みながら食べられるし一石二鳥だな!」
「孫兵。すまねぇが左門の縄持っといてくれ。俺は数馬を見るから」
「良いよ。保護者と被保護者が均等だと便利だよね」
「たまに被保護者が増えるんだけどな」
 暗にジュンコが脱走したりした時のことをほのめかし、じと、と孫兵を見るが孫兵はどこ吹く風。
「ぴゃあああっ!?」
「…早速転けてやがる……」
 眉間にしわを寄せ、作兵衛は唸った。
「早く行ってあげなよ作兵衛。お姫様がお待ちだよ」
 くすくすと孫兵は笑う。そうだな、と作兵衛は数馬の方へと向かった。

「左門。こっちに行こう。こっちの方が美味しそうだよ」
 迷子紐を手に孫兵はゆるりと左門を促した。
「私は孫兵と行くのだな。ジュンコも野苺は食べるんだろう?」
「うん。丸呑みだけどね」
「……味は分かるのか?」
 孫兵はひとつ野苺を摘むとジュンコの口に放った。ぺろりと野苺を丸呑みにし、満足げに鳴くジュンコを一撫でして孫兵は左門に微笑んだ。
「美味しい、と思ったものはこんな風に鳴くんだよ」
「そうか!じゃあ、ジュンコの分もいっぱい摘まなければな!」
「そうだね」

 茂みの上に大の字で転んだ数馬を抱え、作兵衛は呆れたように問う。
「よく転ぶなあ、お前は」
「うう…好きで転んでるわけじゃないやい。ああ…野苺潰れちゃった。装束もシミだらけだよ。取れるかなあ」
 装束に散る野苺の汁を見て数馬は眉をハの字にして呻いた。ぽんぽんと数馬の頭を叩き、作兵衛は頭巾でちゃっちゃと簡易袋を作る。
「まあ、取れるように頑張ろうぜ。ほら、摘むぞ。お前のことだから後輩の分も摘むんだろ」
 手早くやるぞ。と数馬の手を引く。
「うん!」
 だから作ちゃん大好き!そう言うと、真っ赤な顔の作兵衛が恥ずかしいことを言うなと怒鳴る。
「照れないで良いじゃない」
 数馬はにこにこと笑った。

「昼間の赤の方が好きだったんだけどね」
 橙に変わる空と太陽の光の中の赤はどちらかというと橙に近い。摘んだ野苺を口に放り、藤内は目元を和ませる。
「じゃあ今度は昼間に来ればいいじゃん。て言うか藤内さん。いい加減腕の縄も解いていただけませんか」
「縄じゃなくて蔓だけどね」
 ちらりと三之助を一瞥し、懐に収めていた手拭いを袋状にして手早く野苺を摘んで入れていく。
「とーないー」
「迷子になるんじゃないぞ。俺も作兵衛も大変なんだからな」
 はあ、と溜息をついて蔓を解く。まあ、足が動いているだけで迷子になる確率は高いので腕だけを戒めていても意味はないのだが、何となく解きそびれていただけなんだとは口が裂けても言わない。
「迷子紐は藤内が持ってるんだろ。迷子にならねえよ」
 自信満々にそう言うが、それでも迷子になった回数は両手両足でも足らないのが現状だ。
「そう願いたいもんだな。暗くなる前には学園に戻りたいからさっさと摘んでしまおう」
「夕飯は食いっぱぐれたくねぇもんなー」
「そう言うこと」


「結構摘んだねえ」
「摘みながらも食べてたし、一年二年に上げても良いな」
「皆喜ぶぞ!」
「それにしても、なあ……」
「大分暗くなったな」
「野宿でもする?」

 日は沈み、空は橙から藍へと色が変わり、時間は夜へと移行する。

「うっかり夢中になっちゃったから」
 てへ。と数馬は笑い、同意するように左門が頷いた。
「こういうの、楽しいもんな!」
「迷子が迷子にならなかったからな」
 そうしたら気付いたんだけどな。と、ぽつりと作兵衛。
「……役立たずめが」
 隣に立つ三之助を藤内は睨めつける。
「ちょ、藤内それ理不尽だろ!?」
「理不尽云々はともかく。夢中になりすぎたのは不覚だったね」
 孫兵が締める。ジュンコはお腹いっぱいなのか満足げにちろちろと舌を出していた。
「誰も戻らなかったら捜索隊が組まれそうだよね」
「やめろよ。そんなの言ってたら…食満先輩が鬼のように怒鳴って迷子と迷子になった罰だって俺池に岩抱かされて沈められるじゃねえか!!」
「作ちゃん。それは君の妄想の中だけだよ」
 ぺし、と数馬はツッコミを入れる。
「ん?なあ、声が聞こえるぞ」
 そう左門が言ったのと被るように犬の遠吠えが聞こえた。
「ああ、この遠吠えはカスミだね。ねぇ、ジュンコ。カスミがいるならキリトがいる。上級生の先輩方と先生方で山狩りかな」
 大掛かりになってしまってるね。孫兵と藤内が目を合わせて諦観する。
「大目玉、だな。三之助、左門。動くんじゃないよ」
「さっさと合流した方が良いだろう、藤内」
「そうだぞ! その方がまだ怒られない!!」
「お前らが動くと被害拡大なんだよ!!やべぇよ数馬!食満先輩の怒りの剣の舞が俺に迫るううううううううっっ!!!」
「あはは。その怒りの剣の舞とやらを見てみたいよ僕。作ちゃん落ち着いて」
 ぷっ、と数馬は笑いながら吹き矢を吹く。ぷす、と作兵衛の腕にそれが刺さると途端にくたりと彼は落ちた。
「鎮静剤か?数馬」
「うん。先輩たちがいるなら誰かに負ぶってもらえば良いし」
 よいしょっと。数馬は倒れた作兵衛を抱え上げて傍に座り、作兵衛の頭を膝に乗せた。
「皆も座っときなよ。孫兵。火種あるなら明かりでもつけといて目印にしとこうよ」
 左門と三之助が大人しく座り、孫兵はぐるりと辺りを見回した。
「そうだね。何か燃しやすい物は…と」
 す、と動き始めた孫兵を追うように藤内が後に続く。
「孫兵。俺も手伝うよ。数馬、済まないけど迷子たちも落しといて」
「既に終わったよ」
 数馬の言葉が終らない内に迷子二人がくたりとその場に崩れ落ちた。
「相変わらず仕事が早いね」
「当然」

 それから数刻しない内に三年生は全員保護され、大目玉を喰らい、三年生が属する委員会の一、二年生は「お土産~」ともたらせられた野苺を美味しく頂いたという。

 ちなみに鎮静剤で落ちたろ組はそれぞれの委員会の六年生に負ぶわれ、迷子二人は目覚めた途端に拳骨を貰い、迷子の保護者は気付いた途端に怯えてその背から飛び降り土下座をして命乞いをしたらしい。用具委員長はちょっと涙目だったことを記しておく。

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