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色々ネタ置き場(主にRKRN)。 主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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わけがわからない。胸の辺りがもやもやしてる。

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かんたんなはなし
かんたんなはなし
タカ綾(転生一部にょた(基本右側がにょた))
内容は…まあ、裏表紙的な?
既刊おまけページでちょろちょろ出てたタカ綾要素をメインに。
32P 300円


+サンプル1+
 ざわざわとしている喧騒の中を通り抜け、綾部喜八瑠は一息ついた。
 普段は静かな夜の学園も、学園長の思いつきによる七夕祭りのお陰でにぎやかだ。校門から続く生徒たちが運営する屋台の数々。それをひやかす生徒や、園外の人たち。いつも以上に人に溢れている。校門から左右に伸びる塀にはずらりと笹代わりの竹が並び、生徒や教員、今日来園した人たちの短冊が葉と共に風に揺れている。

 屋台はクラス、部活、委員会ごとなどで運営されていて、喜八瑠は丁度その休憩時間に入った所だった。一緒に回ろうと思っていた人間はことごとく入れ違いに店番に入っていたので、喜八瑠は人気の少ない高等部校舎へと歩を進める。腕時計を見るとそろそろ花火の上がる時間だ。人ごみの中で見るよりも、四階にある一年生の教室から見た方が見やすいと判断してちょっと早足で校舎に忍びこんだ。ちなみに校舎はサボりの生徒が入り込まないように施錠されているが、喜八瑠にとっては何の障害にもならない。ヘアピンを使って一丁上がりである。

 高等部一年一組の教室に入って少し間をおくと、ドン、と空に綺麗な花が咲く。
 やっぱり、無理やりにでも藤内を引っ張ってくれば良かったかな、と喜八瑠は入れ違いに委員会の屋台の店番に入った後輩を思う。学園長のコネで呼び寄せられた花火師たちが次々と花火をあげていく。学園は小高い丘の上にあり、さらに打ち上げてる場所は裏山の少し開けた場所なので、大川市の人間は各々家の窓からでも見えるだろう。しかし、委員会の屋台は全て校門側に設営されている為、今店番をしている生徒たちには音しか聞こえないはずだ。やっぱり、無理やり引っ張ってくれば良かったなあ、と椅子を窓際に寄せて座り、窓枠に頬杖をついて花火を眺めながら喜八瑠は思った。
「……というか、一人で花火見ているのが侘しい……」
「じゃあ、僕も一緒に見ようか?」
 今まで誰の気配も感じなかったのに聞こえた声に喜八瑠は勢いよく振り返った。声は聞き覚えがあり過ぎるくらいに聞いていたものだが、やはり不意に声をかけられると驚く。
 花火の光で視認できた顔に喜八瑠は肩の力を抜いて窓枠に突っ伏した。
「……驚かさないでください、隆丸さん。心臓止まるかと思った……」
 斎藤隆丸があははっ、と声を立てて笑い、そしてポケットからヘアピンを取り出した。
「鍵掛け直したから、誰も入って来ないって思ったんでしょう? 喜八瑠ちゃんも花火観賞の為に上がったの? こっちの方が遮蔽物がないから綺麗に見えるよねー」
 机を挟んで喜八瑠の隣に座った隆丸が問うと、彼女は頷いて、そして首を傾げた。
「でも、何故一組に? 隆丸さんは三組でしょう? それに店番ではなかったですか?」
「店番は代わって、って直前に言われたからねー。で、一組覗いたら喜八瑠ちゃんいたから」
 ドン、と華やかに大輪の花が夜空に咲いた。咲いては消え、咲いては消えの繰り返し。赤、黄、緑、と色鮮やかに夜空を彩る花を、二人は静かに眺める。


+サンプル2+
 教室に入ると、いつの間にか消えてしまっていた友人は既にジャージに着替えて窓の外を眺めている。滝姫はその隣の机に鞄を置いて喜八瑠を呼ぶ。彼女は顔を滝姫に向けて、おやまあ、といつものように口を開いた。
「どーしたの、滝姫。般若みたいなお顔」
「だ・れ・が・般若だ!! 喜八瑠、お前本当にどうしたんだ」
「なぁにがー?」
「いつもなら飛びついてるのに」
「……私トイレに向かって走ってたから隆丸さんが声かけた時いなかったでしょ」
「いつ私が隆丸さんが声をかけたと言った?」
「……………滝姫のくせに…っ」
 目を丸くして、次の瞬間には顔を顰め盛大に舌打ちする喜八瑠に滝姫は得意げに笑う。
「ふふん。この眉目秀麗才色兼備の平滝姫だぞ? 誘導尋問くらい楽勝だ」
 さあ、大人しく吐いてしまえ、と滝姫が促すと「皆揃ってるー?」と学級委員長の声が教室内に響く。
 タイムオーバー、と喜八瑠の口が動くのを見て、滝姫は渋々と着席する。教壇に立った学級委員長がぐるりと教室内を見回し、うん、と頷いた。
「みんな偉いね。今日は遅刻者ゼロじゃん! じゃっ、ちょっと早いけどさっさと今回の片づけの配置を発表するからよーく聞いておけよお前らー。まーず、俺たち一組は竹撤去作業。なので校門前集合!」
 えー! とブーイングが上がり、静粛にーと委員長が声を張る。そして手にしていたプリントを読み上げる。
「で、あとは委員会ごとなんだけどな。俺らと同じく竹撤去作業が会計・体育・環境。で、この撤去した竹を使って皿を作って昼飯準備をするのが用具とさほ…じゃねぇ…風紀、こっちは最初は俺らと同じ場所。残りの図書・生物・保健がテントの撤去及び清掃で高等部前に」
 プリントを教卓に置いて、ぶーぶー言っているクラスメイトをぐるりと見回した。
「言っておくけどなー。べっつに俺がじゃんけんに負けたとかじゃなくって、先生立会いの下、高等部生徒会の厳粛なるクジ引きで決定したんだ。文句は、高等部委員長たちに言え。言えるのか? 言えないだろう? 俺だってあの委員長陣を敵に回したくはない。ってーわけで。者共。ジャージに着替えて各集合場所に行ってくれ」
 ピタリ、と場が静まり、それぞれが慌ただしくジャージ又は体操服に着替えるために移動、もしくはその場で着替え始める。
 喜八瑠はその慌ただしさの中を抜けて一人悠々と教室を出た。そしてざわざわと騒がしい廊下でため息を一つこぼす。

「……どうしたも何も、それは一番私が知りたいよ」

 もやもやとしている胸を押さえて喜八瑠は呟く。『昔』これに似た感情をちょっとだけ抱いたことがある。でもそれは〝幸せ〟の為にすぐ手放した。だからコレをどう扱えば良いのかがよく解らない。手放すのが得策なのか、そのまま持っていた方が良いのか……。はあ、とまた一つため息をついて喜八瑠は歩き始めた。


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