蛇足。

昨日の分に続きが
あった。

蛇足。

猫の日過ぎたから載せる。

[0回]

＊＊＊

｢生殖能力云々はさて置いて｣
勘右衛門が物をどかす動作をしながら言う。
｢実際は三毛二つと虎猫作るつもりだったのだあ｣
黒猫耳を外しながら兵助が呟く。
｢でも三毛ひとつで力尽きたんだ｣
三毛猫耳を拾い上げ、そ、と三郎に近付き三毛猫耳を装着させる。


｢ホントの目的は皆で日向ぼっこだったんだよ｣
勘右衛門が言うと、兵助もこくこくと頷いた。猫耳を付けなおしながら。
｢屋根の上がすごく温いんだ｣
｢ぽかぽかで気持ちいいよ｣
｢布団も用意して｣
｢お菓子とお茶も｣
ほわほわと話に引き込まれていく雷蔵と八左ヱ門は｢そうかぁ｣｢ごめんなぁ｣と二人の手を握る。

が。

｢おい待て勘右衛門｣

三郎は再度装着された猫耳を外し突きつける。
｢この猫耳つけさせたままって言うのが抜けているぞ｣
勘右衛門は表情はにこやかなまま非常に器用に小さく舌打ちをする。

｢鉢屋は勘が鋭いなあ｣
｢面白くないのだあ｣

｢…器用だな、勘ちゃん｣
八左ヱ門が呟くと、感心するとこじゃねえだろと三郎が言う。






｢気持ちいいけど面白くないよねえ。へーちゃん｣
はむ。と饅頭にかぶりつく。雷蔵が湯飲みにお茶を淹れて勘右衛門に手渡した。屋根に一列に並んで、もちろん全員耳もしっぽも外して、ぽかぽかとした陽気の中饅頭を頬張り、茶をすする。
｢今日はホントに温いのだ｣
｢…寝て落ちないでね｣
｢そんなバカなオチはしないよ｣
｢鉢屋が気づかなければ面白い光景だったのに｣
はふぅ、と残念そうにわざとらしくため息をつく。

｢周りがな｣
三郎のツッコミを無視して勘右衛門は言葉を続ける。

｢ほら見てみなよ。一年は組を｣
ばっと勘右衛門は眼下の光景を示す。中庭を転げるように走り回る幼い子どもの頭には……。


｢あんなに素直につけてくれたのに｣
｢伊助は可愛いのだ｣
はむもむと饅頭を頬張りながら、勘右衛門と兵助はしっぽを揺らして走り回る一年は組を楽しげに眺める。


｢｢｢よくやったい組｣｣｣

異口同音にろ組トリオは心からの賛辞を述べた。



＊＊＊


五年は一年大好きだと良い。