猫の日ですので。

[2回]

「さぁくちゃーん！」

　ご機嫌な数馬の声が聞こえて、捕獲した三之助に止まるように指示する。勿論、迷子紐はしっかりつかんでいる。

「どうしたんだ数……」

　振り返った瞬間、作兵衛も三之助も固まった。




　猫耳と金色の鈴付きの赤い首輪、猫の手手袋姿の数馬と藤内がそこにいた。

「にゃー！　見て見て作ちゃん似合う～？」
　白い猫耳の数馬がクルリと回る。回った際に白い尻尾も見える。
　無理矢理つけられたのか、隣の藤内のテンションは酷く低い。
「……数馬、それどうしたんだ…？」
　作兵衛が問うと、数馬はニコニコと答える。
「五年い組の先輩方から頂いたんだー」
「一年は組に配っている所に通りがかったら、あげる、と……」
　藤内が視線を彷徨わせながら補足する。

「藤内」
　黙っていた三之助が口を開く。
「…何」
「抱きしめていいですごふぅっっ！！？」
「今ものすごく羞恥に耐えてるんだ。余計なこと言わないでくれる」
　藤内のボディブローが三之助にクリーンヒットした。三之助を見る藤内の視線は余裕で人を殺せそうなほどに暗く鋭い。
「……なら、つけなければよかったじゃねぇか」
「つけなかったら「僕が大泣きして公衆の面前でつけなくっちゃいけない羽目に陥らせるよ、って言ったんだ」言われたんだ」
　良い笑顔で藤内の言葉の途中に数馬が割り込んだ。
「つけたのも作ちゃん達に声かける直前だったし」
「……お前達に見せるだけでも本当に恥ずかしい。今すぐ記憶から削除して」
「えー？　藤内可愛いのにー」
「おう！　だから抱きしめさぐほぅっっ！！」
「ねえ。三之助。お前俺の話聞いてた？」
　復活した三之助を再び沈め、地に伏した頭を踏んづける。そのままぐりぐりと踏みにじって行く姿はＳ法委員の名に相応しい。

「作ちゃん作ちゃん！　これって何プレイ！？」
「…数馬。こういう時は見ない振りをするのが礼儀だと俺は思うぜ…」
　す、と作兵衛は二人から視線を外す。
「あぁ、それと…似合ってる。可愛いと思うぜ」
「作ちゃん……！！」
　きゅん、と数馬は感激のあまり作兵衛に抱きついた。





「……これは、私たちは出るべきなのか！？」
「左門。ここはそっとしておくのが良いと思うんだ」
　物陰からこっそりと見物していた左門と孫兵。


お・わ・れ！