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今日も今日とて忍術学園三年ろ組富松作兵衛は同室の迷子二人組を探す。
「あ~~!もう!何で見つからねぇんだよあいつらあああっ!!」
ただいま裏々々々山。
がっさー。
馴染みの気配に作兵衛は期待して振り返る。その先には馴染みは馴染みでもろ組じゃなく、は組の二人。
ぶらーんと木の枝に膝をかけ逆さに作兵衛を見ていた。
「や。」
「作ちゃん今日も迷子捜索?大変だね!」
「……数馬…藤内…何してんだよ」
二人は腹筋を使って枝に座る。そうして枝に引っかけていた籠を取った。
「薬草摘み。数馬の手伝いだよ」
「孫兵がね、教えてくれたの~。珍しい種で、薬草園じゃ栽培できないやつで!」
今日はいい感じでついてるよね。
ね!!
は組二人が本日の不運スパイラルのなさ加減ににこにこ笑う。
「あ、でね。作兵衛」
「何だよ。藤内」
「三之助なら召喚できるから」
「は?」
召喚?何言ってんだこいつ。と作兵衛は胡乱げに藤内に視線を向けた。
「この範囲なら…裏々々山と裏々々々々山までだけど……」
そうして、気持ち大きめの声で「三之助ー」と呼んだ。その後にごにょごにょと何事か呟く。隣で数馬がによによと楽しげに笑っているのが怖い。
「………これでここまで来るからじっとしと……早」
ドドドドドド………と裏々々々山の方から土煙が近付いてくる。
「じゃああとは左門だけだね!孫兵も今日は山をうろうろしてるみたいだから左門見つけたら捕獲するように伝えとくよ。僕らも見つけたら狼煙上げるね!じゃあね、作ちゃん。あでゅー!」
背負い籠を背に、数馬は軽やかに枝を渡る。
「あ、三之助に死ねって言っといて。恥ずかしいこと言わせんなクソが。って」
「……お前、日々、綾部先輩に似てきてねえ?」
「さぁ?」
口の端だけ上げて笑うと、藤内も数馬を追った。
それから少ししない内に作兵衛は猪突猛進に走ってきた三之助を捕獲。
「とーないは!?」
「いねーよ。それにしてもよく聞こえたな」
まっすぐ迷うことなく辿り着いたのも驚嘆ものだが、あの大きさの声を山一つ先で聞き拾ったことも驚きだ。
「藤内が俺に愛してるとか言うから…走ってきたのに」
いないなんてありえねぇ。とつぶやく級友を見ながら、作兵衛はだから数馬がによによ笑い、藤内が死ねとぬかすのか。と納得した。
ていうか。
「お前、あんな小声拾うとか変態だな」
「変態じゃねーよ。愛の力だ!!」
「………、イヤもうお前手遅れだよ」
どこぞの委員長たちやら何やらと同じだ。
とりあえず、逃げられないように迷子紐を結んで作兵衛は藤内の伝言を伝える。
途端に凹む三之助をずりずり引きずり、作兵衛は左門を呼んで山を歩く。
「あ!作兵衛だ!孫兵、狼煙上げなくても良いぞ」
左門が嬉々として足をばたつかせた。孫兵は一応上げとくよ、と狼煙を上げ、火種を懐に収めてジュンコを撫でる。
「ああ近いね。それにしても全て見計らったようによく合うね」
「作者の都合だ!とお告げが来たぞ」
「……左門何てモノを受信しているんだ…」
変なモノを見るように孫兵は左門を見る。
「ん?何か変か?それにしても孫兵。私は何で木に縛りつけれているんだ?」
丈夫な蔓で念入りに縛られている己の体を見下ろして左門は問う。尤もな疑問ではあるが、三年四人には迷子を見つけたら有無を云わさず拘束すべし、という暗黙の了解がある。
「うん。被害拡大の未然防止。こっちだよ作兵衛」
孫兵の声に導かれて、三之助だったモノを引きずった作兵衛が現れた。道々木にぶつかったり引っかかったり何やらかんやらとあって、三之助であったモノはくたりと動かない。
「なにその三之助であったモノ」
「三之助であったモノだよ。ありがとな、孫兵。捕獲してくれて」
「大した手間じゃなかったし。ね、ジュンコ」
「作兵衛!解いてくれ!」
「へいへい。ちょっと待ってろ」
作兵衛が蔓を解くと、左門は懐を漁りガッカリした表情を浮かべた。
「どうしたんだよ」
「うむ。山の中を歩いている時にすっごく甘い野苺を見つけてな、いつも世話になっている作兵衛にも食べさせてあげようと思って摘んだのだが…」
縛られたときに潰れてしまったようだ。
残念そうにつぶやく左門の頭を撫でて「ありがとうな」と作兵衛は礼を言う。目頭に熱いものがこみ上げてきそうだ。
「ねえそれってさあ」
「野苺の茂みがものすごい群生してたとこの?」
がっさー。
またも同じように枝にぶら下がり藤内と数馬が現れる。空気を読んでほしい、と作兵衛は心から思う。感動的な場面が台無しだ。
「そこだ!藤内も数馬も知っているのか?」
左門がぱっと顔を輝かせる。
「さっき俺たちも見つけたんだ。な」
「甘くて美味しいから皆で食べようと思って摘んできたんだー」
正位置に戻り、籠を抱えて枝から飛び降りると同時に数馬は転けた。
気持ちいいくらいに顔からスライディング。そして籠は高く舞い上がり三之助だったモノに落下。彼をスプラッタ状のモノに変化させる。
「大丈夫?数馬」
危なげなく飛び降りた藤内が数馬を抱えた。
「大丈夫だけど…今までいい感じだったのに…」
あぁ…野苺が…。泣きそうな顔になる左門と数馬。
「まあ、オチだよね。で、そこの三之助だったモノは何」
「うっわひっど。作ちゃん何コレ」
三之助だったモノをうわーと顔をしかめて眺める二人。数馬の頭には治療のちの字も浮かばない。
「「「三之助だったモノ」」」
声を揃えて三人は言う。
そう。と特に感慨もなく藤内は頷いて尚もしょぼんとしている左門と数馬に声をかける。
「摘んじゃったのはダメにしちゃったけど、群生地に行ってみんなで食べようか。ね、数馬、左門」
ぱあっと二人は顔を輝かせて何度も縦に首を振る。
「それはいいけどよ。コレどうする?」
作兵衛が三之助だったモノを指す。このまま移動するのは非常に面倒だ。
「ジュンコが咬んだら起きるかな。」
首を傾げる孫兵に左門がずびしと裏手ツッコミを入れる。
「孫兵。それは三之助が永眠するぞ」
「知ってる」
そうか!と左門はカラカラと笑う。
「孫兵の冗談はさておき。藤内、出番だよ!」
数馬が嬉々として声を上げる。対照的にめちゃくちゃ嫌そうな藤内。
あー…と作兵衛は憐れみを込めて藤内を見る。
「……すっごい嫌なんだけど」
「嫌でもやんなきゃ!だーいじょうぶ!盛ったら麻酔針打つからさ!」
吹き矢を示す数馬に「それは本末転倒なんじゃ…」と作兵衛と藤内は思う。
「とりあえず…その蔓で三之助を縛り上げ……」
腕を背に回して手首を縛り、腕も動かないように体に固定する。足も足首を縛り、正座させた状態で太股と脛を縛る。
「完っ璧だ」
これで動けないだろ、と藤内は言う。
「こうして見てると、藤内も作法委員なんだなって実感するよ」
「ああ。俺もそう思う」
「何で三之助は縛られているんだ?」
「左門。世の中には知らなくて良いことも時にあるんだ」
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