色々ネタ置き場(主にRKRN)。
主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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思い出してほしくないけど、思い出してほしいなんて。
何て我儘な考えなんだろう。
君がいてくれるだけで、会えただけでとても僥倖なことなのに。
でも、あの箱庭で過ごしていたことは思い出してほしいって、私は思うんだ。
楽しかった日々だけでも。
何て我儘な考えなんだろう。
君がいてくれるだけで、会えただけでとても僥倖なことなのに。
でも、あの箱庭で過ごしていたことは思い出してほしいって、私は思うんだ。
楽しかった日々だけでも。
―――藤内。君が何にも憶えていなくても、今ここにいてくれるだけで私はすごく嬉しいんだ。時々、思い出して欲しい、って思うけれど私は君が苦しむ姿を見たくはないの。君が笑って『現在』を生きている。それだけで嬉しいから。
『来世ではこの子が幸せでなれますように』と君の血で濡れた赤い手で、君の躯を抱きしめて私は希った。それが叶ったのだからすごく嬉しいの。でも、でもね。やっぱり。
ちょっとだけ、幸せなあの時間の記憶くらいは思い出して欲しいと思うのは、やはり私の我儘なのだろうな、って思う。
記憶がない子もこの学園で過ごす内に少しずつ思い出す例はたくさん。
去年、小学六年生の藤内が学園に見学に来た時は思い出さなくっても構わないって思ってた。
「何で思い出して欲しいと思うのかなー。ねぇ、滝姫どうしてかな?」
「三之助も三反田も、一年のあの五人組は思い出して欲しいと思ってるから自然じゃないのか?」
昼休み、学園の食堂でBランチ(オムライス(トマトソースorデミグラス)とスープ(ポタージュorコンソメ)・サラダ。ちなみに私はトマトソースとポタージュを選択)をつつきながら私が言うと別に変じゃないだろう、と平滝姫は言った。
「でも私は思い出して欲しくないんだよ? でも思い出して欲しいって思ってる。矛盾してる。変だ!」
滝姫はAランチ(サンドイッチ三種(卵・野菜+ハムチーズ・ツナマヨ)×2・スープ・サラダ)のサンドイッチを咀嚼する。ツナマヨサンド欲しーなー。滝姫はふむ、と言うように首を傾げてお茶を一口。そうして口を開いた。
「寂しいんだろう」
「寂しい? 私は寂しくないよ」
私は滝姫の言葉に首を傾げる。だって、藤内が笑ってるから私はとても嬉しいんだもん。そう言うと滝姫は呆れたように私を見る。
「何だ。自覚なしなのか? 隆丸さんが中等部を卒業して海外に行ってしまったから寂しいんだろう。お前は隆丸さんにべったりだったし。そのべったりが今、浦風の方に向かうから…『昔』のことを少しでも思い出して欲しいと思うのだろう、と私は推測する」
幼い頃から一緒の人がいなくなるのは寂しいことだろう。と滝姫が畳み掛けるように言う。けれど、お別れするのはこれが初めてではないし…まあ、そんなにほいほい会える距離でもないのは確かだけれど。小学三年生の時、隆丸さんがこちらに引越す際には大泣きは、した。また一人ぼっちになるのは不安だったから。それに……あの『事件』の記憶を共有するのは彼だけだから。彼がいたから私は『変な子』じゃないと思えたのだし、藤内のこともあの『事件』も実際の出来事だと実感した。今度こそ藤内を守るって決意できた。
隆丸さんがいるから私は私を保っていられた。そう言う意味では隆丸さんと言う存在は藤内よりも大きいのかもしれないと思うのだけれど……。
「寂しいから、藤内に思い出して欲しいの? それはやっぱり私の我儘でしかない」
「基本的に人間は自分のことを第一に考える。お前がそう思っていても我侭ではないと私は思うのだけれど」
ふふん、と滝姫は見透かすような笑みを浮かべた。ちょっと、癪。
「喜八瑠。浦風が『昔』を思い出したら、きっとお前は嬉しいと思うはずだ」
「…うん、思う」
「なら良いではないの」
先程の笑みとは打って変わって、とても優しい笑みを浮かべる滝姫は本当に綺麗で可愛い女の子で。この時代が本当に穏やかなのだと実感する。
「あ、喜八瑠先輩!」
聞き間違えようのない声に私は喜色満面に振り返る。「現金だな…」と滝姫の呆れた声が聞こえるが無視だ無視!!
手にはお弁当を入れるトートバッグを持っているから今日はお弁当だったらしい。藤内の後ろから「先に行くねー」と三反田が声をかけている。その先にはいつものメンバーがいて、次屋が視界に入ったことでテンションが下がるけど、焦ったような表情の藤内に何があったのだろう、と不安が首をもたげた。
「どうしたの、藤内」
「あ、あの、あのですね、喜八瑠先輩」
「おちけつ…落ち付いて、藤内。そこに座りなよ。飲みかけで悪いけど、お茶飲んで落ち着いて」
藤内は私から受け取ったお茶をぐーっと一飲みして、ふぅ、と息を吐いた。
「あの…喜八瑠先輩。今度のお休みにどこか、ケーキとか食べに行きませんか!?」
「うん、良いけれど。いきなりどうしたの、藤内」
「だって、前、お約束したでしょう? 前、って言っても私が忍たまの六年生の春頃のことですけど…実習などで不意になってしまいましたから……憶えて……!!」
私は思わず藤内を抱きしめた。うん! 憶えてる。約束したの。藤内の実習が重なって行けなくって、その後も…そう、結局行けなくなったんだ。憶えてる。あぁ、あぁでも…。
「思い出したの、藤内」
「はい。ちょっとだけ。喜八瑠先輩は喜八郎先輩でよろしいのですよね?」
「うん。私は喜八郎だったよ、藤内。思い出してくれて、私は嬉しい」
本当に嬉しくて、嬉しくて。思い出さなくてもいいと思っていたけれど、思い出してくれるとすごく嬉しい。でも、でも……あれは……。
「数馬のことも孫兵たちのことも思い出しました。私、昔は男の子だったんですね」
「そう、そうなの。藤内、あなたは何処まで思い出したの?」
「大体、忍術学園に在籍していた頃、ですね。六年生の春までくらい。所々抜けている所もあるようですけど、数たちとの記憶とも概ね合っているようです」
私は内心安堵した。良かった。あの『事件』さえ思い出さなければ。それ以降を思い出さなければ。それでいい。ああでも、嬉しい。
「じゃあ、お休みに行こうね、藤内。どこにしようか。楽しみだね、藤内」
滝姫が微笑ましそうに私たちを眺めている。私がすごく楽しみにしているのを見て、藤内も笑う。
「はい、何処に行きましょうか」
あぁ、なんて、何て今日は幸せな日!
浦風さんが思い出したようです。
例の事件より以前まで。
例の事件→オフ発行「私が彼を嫌いな理由。」参照。
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最近ハートの国のアリスシリーズにハマったらしいです。
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