色々ネタ置き場(主にRKRN)。
主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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早朝からの怒涛の脱走虫あんど獣たちの回収に奔走し、八左ヱ門は疲労困憊していた。生物小屋から長屋まで歩いているがまだまだ距離はあり、さらに、腹も減っているので食堂にも向かいたいという気持ちはあれどその道のりもまた遠い。
「ああ、こんな所にいましたか。八左ヱ門」
声変りが終わりながらも標準からするとやや高めの声音が降りかかる。おっとりして優しい響きのそれは心をひどく穏やかにするもので、順忍として情報を得るのにうってつけである。聞かれもしないことまで喋ってしまいそうで(実際任務の時に相手方はぺらぺらと情報を喋っていた)、本人も非常に穏やかな容姿なので余計にだ。
「……正雪……」
白い髪(老人のようにパサついた髪でなく、艶やかな白髪だ。光加減で金色味がかかる時がある)に紅い目が印象的な柔和な微笑みをいつも浮かべている少年が握り飯と竹筒、濡れた手拭い片手に八左ヱ門の前にいた。
「…日光…」
「大丈夫ですよ。お馬鹿さん。ちゃんと対策はしております。ひとまずはおにぎりと水をどうぞ」
差し出された握り飯を受け取り、次の瞬間にはがつがつと飢えた獣のように平らげる。水もあっという間に空になった。受け取っていた濡れ手拭いで顔を拭くと人心地がつき、ほう、と八左ヱ門は息を吐く。
「……助かった……早朝から走り通しで飯食う暇もなかったし」
心の底からそう言うと、正雪は二コリと微笑んだ。
「一年生と三年生が『竹谷先輩まだ走りまわってるのかな』と食堂で仰っていたので。十中八九走りまわっているだろうと思ったんですよ。まあ、走り終わったようで何よりですが」
「正雪は良い嫁になると思う。うん」
もう一枚あったらしい濡れ手拭いで腕やら首やらを拭いてくれている正雪にうんうんと八左ヱ門は感慨深く頷きながら言う。
「……いちおう、私は男なのですが…」
困ったように笑いながら答える正雪ににかっと笑みを向ける八左ヱ門。
「知ってる。あー、風呂に入ってひと眠りするかな」
「背中流しましょうか? 私も鍛錬した後なので丁度湯に入ろうかと思っていたのですよ」
ぱちん。と手を叩きにこにこと正雪は笑みを絶やさない。良い所のぼんぼんなのに人への気遣いを絶やさないのは美徳だ。常に他人を気遣い、できることをしようと正雪はいつも心がけている。それは金持ち故の傲慢だととらえる人もいるだろうが、八左ヱ門にしてみればそれは正雪の性格であり、病弱であったが故のものだろうと思っている。まあ本人は本当に好意で行っているのだろうが。おかげでい組の二人がつけあがっている。誰かと正雪が一緒にいると剣呑な視線や時折殺気を向けられる。それが八左ヱ門や、三郎、雷蔵であってもだ。もちろん、互いに牽制もしあっているようだが……。若干、正雪の天秤が勘右衛門に傾いている気もしないでもない。
そんなことを考えながらも八左ヱ門も良いことを思いついたとばかりにこう言った。
「お。頼む。俺も正雪の背流してやるよ」
「お願いします」
ぱっと華やかに笑みを浮かべる正雪を見ながら、笑顔にもいろいろあるなあと改めて思う八左ヱ門だった。
「ああ、こんな所にいましたか。八左ヱ門」
声変りが終わりながらも標準からするとやや高めの声音が降りかかる。おっとりして優しい響きのそれは心をひどく穏やかにするもので、順忍として情報を得るのにうってつけである。聞かれもしないことまで喋ってしまいそうで(実際任務の時に相手方はぺらぺらと情報を喋っていた)、本人も非常に穏やかな容姿なので余計にだ。
「……正雪……」
白い髪(老人のようにパサついた髪でなく、艶やかな白髪だ。光加減で金色味がかかる時がある)に紅い目が印象的な柔和な微笑みをいつも浮かべている少年が握り飯と竹筒、濡れた手拭い片手に八左ヱ門の前にいた。
「…日光…」
「大丈夫ですよ。お馬鹿さん。ちゃんと対策はしております。ひとまずはおにぎりと水をどうぞ」
差し出された握り飯を受け取り、次の瞬間にはがつがつと飢えた獣のように平らげる。水もあっという間に空になった。受け取っていた濡れ手拭いで顔を拭くと人心地がつき、ほう、と八左ヱ門は息を吐く。
「……助かった……早朝から走り通しで飯食う暇もなかったし」
心の底からそう言うと、正雪は二コリと微笑んだ。
「一年生と三年生が『竹谷先輩まだ走りまわってるのかな』と食堂で仰っていたので。十中八九走りまわっているだろうと思ったんですよ。まあ、走り終わったようで何よりですが」
「正雪は良い嫁になると思う。うん」
もう一枚あったらしい濡れ手拭いで腕やら首やらを拭いてくれている正雪にうんうんと八左ヱ門は感慨深く頷きながら言う。
「……いちおう、私は男なのですが…」
困ったように笑いながら答える正雪ににかっと笑みを向ける八左ヱ門。
「知ってる。あー、風呂に入ってひと眠りするかな」
「背中流しましょうか? 私も鍛錬した後なので丁度湯に入ろうかと思っていたのですよ」
ぱちん。と手を叩きにこにこと正雪は笑みを絶やさない。良い所のぼんぼんなのに人への気遣いを絶やさないのは美徳だ。常に他人を気遣い、できることをしようと正雪はいつも心がけている。それは金持ち故の傲慢だととらえる人もいるだろうが、八左ヱ門にしてみればそれは正雪の性格であり、病弱であったが故のものだろうと思っている。まあ本人は本当に好意で行っているのだろうが。おかげでい組の二人がつけあがっている。誰かと正雪が一緒にいると剣呑な視線や時折殺気を向けられる。それが八左ヱ門や、三郎、雷蔵であってもだ。もちろん、互いに牽制もしあっているようだが……。若干、正雪の天秤が勘右衛門に傾いている気もしないでもない。
そんなことを考えながらも八左ヱ門も良いことを思いついたとばかりにこう言った。
「お。頼む。俺も正雪の背流してやるよ」
「お願いします」
ぱっと華やかに笑みを浮かべる正雪を見ながら、笑顔にもいろいろあるなあと改めて思う八左ヱ門だった。
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かんたんなはなし(タカ綾)
この好きは『好き』でいいのでしょうか?(次浦+綾)
私は彼女が幸せであるよう希う(再録:私が彼を嫌いな理由。&ハッピーエンドをつかみとれ!)(次浦+綾)
海に関するetc.(次浦+綾(タカ綾))
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いお
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女性
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1987/03/19
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五年(特にい組)と三年と綾部が好きな一般人←
最近ハートの国のアリスシリーズにハマったらしいです。
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