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色々ネタ置き場(主にRKRN)。 主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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豆腐で実験。

こないだTVで見たのをネタに。
後半gdgdです。

現パロです。
転生の設定もちょっと引っ張ってるけど、みんな男の子です。

拍手[1回]


 尾浜勘右衛門がすこぶる笑顔でその光景を眺めた。
 隣にいる久々知兵助は真っ青を通り越して白い。まるで豆腐のようだ。

 そうして、ひきつった笑みを浮かべる竹谷八左ヱ門。
 あわあわしている不破雷蔵。
 不敵な笑みを浮かべつつも、どこか怯えた様子の鉢屋三郎。


「何してるのかな。お前ら」

 にこにこと輝かんばかりの笑顔を浮かべ、紡がれる声音はものすごく低い。

「勘ちゃんちの豆腐があああぁぁぁぁあああぁぁぁあああああっっっっ!!!!!!!!」

 兵助の絶叫が鉢屋三郎宅で響き渡った。





 さて、話は一、二時間前にさかのぼる。

「豆腐? 良いよ。形崩れてるやつで良いんだよね。十丁……あったかなー」
 八左ヱ門の要求に、尾浜豆腐店で店番をしていた勘右衛門は快諾して奥に引っ込んだ。

「おぉ! サンキューな! 勘ちゃん」
「木綿で良いんだよね。なんか作るの?」
「ん? んーまぁな。さぶろ…っと……何でもない」
「……まぁ、良いよ」
 後で確認しに行けばいいんだし。

 豆腐十丁という結構な量を抱え、八左ヱ門は尾浜豆腐店を去る。それと入れ違うように久々知兵助が尾浜豆腐店に訪れた。

「勘ちゃん!」
「いらっしゃい、へーちゃん。今日は何にするの」
「木綿豆腐。今晩は田楽なのだぁ」
「木綿だけ? 今日はごま豆腐と枝豆豆腐も作ってるんだけど」
「あ、じゃあそこも。明日の味噌汁の具にも使うから、木綿四とごまと枝豆は二にしとく…」
「毎度ありー。て言うかそれで足りるの?」
 食べ盛りがいるのに。
「家に三丁ある。足らなかったらまた買いにくる」
「そん時には閉まってるよ。あ、そうだ。へーちゃん。豆腐家に置いてきたらちょっと鉢屋んち行かない?」
「三郎のとこ?」
「そ。何か、やってるっぽい。八ちゃんが木綿豆腐十丁も買ってったんだよねー」
「十丁? お菓子…だと絹豆腐だな」
「何か何でもよかったみたいだけど。気になるからさ、行ってみない?」
「いいよ」



「アルミ箔切ってー塩盛ってー」
「線と金テコ繋いだぞ~」
「豆腐並べたらさらに塩盛れよ」
「「アイサー」」

 アルミ箔の上に塩。その上に豆腐を置き、赤や青のビニールに包まれた被覆銅線を二列になるように各十個の金テコに繋げる。金テコは豆腐に突き刺し、その周りに塩をさらに盛る。直列に並べよう。not並列。

 という作業を楽しげに三人は実行する。

 全てを繋ぎ終えた三人は一番最後の豆腐に刺さった金テコの先。ビニールをはいだ銅線の先端をソケットに嵌った電球に繋げた……。

「「「おぉ!!」」」

 ぴかーっと眩しく電球は輝いたのだ。

「番組ではiPodにつないでいたけど、さすがに線切って剥ぐなんてもったいないからね」
「豆腐も電力になるんだなー」
「ちなみにこれ食えねえからまかり間違っても兵助に見つかるなよ。嘆くぞあいつ」
「その前に俺の拳が君たちに舞うよね」

「「「…………」」」


 三人の顔面から血の気が引いた。


 そうして冒頭に戻る。









 あぅあぅと涙目で豆腐を埋葬する(もちろん鉢屋家の庭に)兵助を横目に、三郎雷蔵八左ヱ門は正座させられたまま…にこにこと笑顔の勘右衛門に見つめられている。

「か、勘ちゃん、これは……ハイ。黙リマス」

 口を開いた八左ヱ門に笑顔の圧力をかけると、彼は大人しく口をつぐんだ。
 雷蔵様が勘ちゃんに降臨した。そう思ったのは彼だけでないのは確かだ。

「雷ちゃん。フツウ、雷ちゃん止める立場だよね?」

 何で止めなかったの。

「……いや、面白そう。って、思ったから。豆腐で電気が作れるんだね、って」
「そうだぞ! 面白そうだろうが!! 何で怒るんだよ!?」
 雷蔵の言葉に後押しされたのか、三郎がそう口を開くと冷ややかな笑みが向けられる。東シベリア在住のクールを貫こうとして貫けない絶対零度師弟よりもクール(この場合は冷たい。むしろ鷲座)な笑みだ。


「あのね。おれが怒ってるの、そこじゃないんだよね。まあ、食べ物を粗末にするなっていう点は確かにあるけど。止めろ、って言ってんのもそこに付随するけどさ」

 線香まで立て、黙祷する兵助はいまだほとほとと涙を流している。
 勘ちゃんちのお豆腐……至極残念そうにつぶやきながら。

「初めから言えばいいんだよ。実験するから、豆腐くれって。そうしたら…あの高級豆腐じゃないの渡したのに」

「勘ちゃんちの豆腐小僧あんなにしてくれてどうするんだよ馬鹿あっっ!!」

 そう勘右衛門が言うのと、兵助の言葉がほぼ同時に発せられる。


「「「豆腐小僧!!?」」」

 三人の背景に墨ベタフラッシュが光る。


 豆腐小僧とは、尾浜豆腐店で最高級の豆腐である。大豆、水、にがり。すべてが厳選された一品で、好事家たちの中でも話題の商品である。
 ちなみに、一丁千円はする。兵助は月に一度これを買って至福の時間を過ごしている。絹と木綿の二通りの品がある。


「お…おま、何てもん寄越したんだよ!!」
「おれは鉢屋が何か作るんじゃないかと思ったんだよ。お前無駄に手先器用だし」
「無駄言うなし!」
 三郎の叫びに勘右衛門が笑みを引っ込め眉間をぐりぐりと指で揉んだ。あー信じた俺がバカだった。
「で、でも勘ちゃん、八ちゃんが持ってたお金じゃ豆腐小僧十丁も買えないよ…?」
「規格外品なんだよね。親父が配分うっかり間違えた。で、格安にしたんだよ。安くなってた分飛ぶように売れたし。十丁残してたのはへーちゃんが来るだろうと思って残してて。鉢屋がお菓子とかに加工してくれたならへーちゃん喜ぶかなって言うおれの勝手な思い込み!!」
 雷蔵の問いかけには苦笑して答え、その後の八左ヱ門の謝罪にはむしろ申し訳なさそうに答える。
「……俺が三郎、って言ったからだよな…ごめん。勘ちゃん」
「いや、八ちゃんのせいでもないし。おれの思い込みだし」

 そんな中、ゆぅらりと幽鬼の如く三郎に詰めよった人物。

「とーふこーぞーうー…………俺の、豆腐小僧~~~~~……さぁぶろぉ?」

 不意を突かれた三郎を押し倒し、馬乗りになった状態で凄惨な笑みを浮かべた。ちなみに手は彼の首に掛かっている。

「へ…兵助…! 首! 三郎の首締まってる!!!!」

 久々知兵助が乱心した。

「締まってんじゃねぇよ。締めてんだよ。俺の豆腐小僧、台無しにしやがって……死ね。詫びろ。土下座して地面に額こすりつけて三回ってワンと鳴け。それとも俺の下で啼くか? ん?」

 喉を圧迫され、気道を塞がれた哀れな鉢屋三郎は、顔を青くさせながらじたばたとあがくが火事場の馬鹿力というか…元々兵助よりも力がない三郎なので本気になった兵助に敵うわけもなく……。
 徐々に弱弱しくなる彼のあがきに、周りが力ずくで引き離そうとするが豆腐の敵とばかりに目の色を変えた兵助に腕力では勝る雷蔵も八左ヱ門も太刀打ちできず……。

 ぽん、と勘右衛門が兵助の肩を叩く。

「!?」

 振り返った兵助の口に何かを押し込んだ。

 もぐ、もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……ごくん。


「落ち着いた? へーちゃん」
 三分の一が減った豆腐の入った器を持った勘右衛門が笑う。
「とーふ、こぞう?」
 こて、と首を傾げゆっくりと確かめるように問う兵助に勘右衛門は肯定する。
「そう。規格品のね」
「俺の…?」
「そう。へーちゃんの。食べていいよ」
 ちょいちょいと手招きされると、兵助は素直に勘右衛門の後を着いてくる。

「……さすが、兵助マスター」
「三郎。よかったね。兵助の下で啼く必要なくなって」
 げほげほと咳込んでいる三郎に手を差し伸べ、雷蔵が言うと…涙目になった三郎がその手を取った。
「………………死にかけた人間にそんなこと言うの雷蔵…」


「とーふっ、こぞーっ」

 ご機嫌で豆腐を掬う兵助を隣でにこにこと勘右衛門が眺めている。

 これだけを見ればとても幸せでほのぼのとした風景に見える。


 今度から豆腐を使った実験は絶対にしない。

 三郎は心の底からそう誓った。
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