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色々ネタ置き場(主にRKRN)。 主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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 あの子は私にとって、とてもとても大切な子なのです。

 だから、私はただただあの子の幸せを願うのです。

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私が彼を嫌いな理由。
次浦+綾。(転生・一部にょた)
↑だけど綾部中心。
48p 400円
おまけな感じで裏表紙のシールが付いてきたり。


本文サンプル

その一。


 私立大川学園高等部、一年一組風紀委員の綾部(あやべ)喜八瑠(きはる)。
 彼女を一言で表すなら不思議系美少女。前世だと穴掘り小僧。
 綺麗な容姿をしているのに、たまに出てくる発言内容は突飛なことが多い。だが、概(おおむ)ね常識的に行動できる。そのように周りは認識している。前世から付き合いのある人間にとっては「変わらないなお前」の一言で済んでしまう程度だ。

 ちなみに、黙っていれば美人、というこの言葉。この学園の綺麗所全体に対する総評である。

 つまり皆、一回死んでも性格ってそんな変わんないってことだ。


「滝姫(たき)」
 呼ばれて平滝姫はこの後行われる授業の予習の復習していたノートから顔を上げた。上げた先には綺麗に整った級友の顔。自分の容姿ももちろん当たり前のごとく整っていると滝姫は自負しているが、この級友である綾部喜八瑠も十分整った容姿だ。昔から変わらないが。
 平滝姫は自己主張の激しい性格で傍から見ても美少女だが、ちゃんと正当な評価を下すことができるのである。いくら悔しくても相手を認めることができるのは美徳だが、そんな所を下級生は見てくれないので、「自慢話ばかりをして相変わらずな滝夜叉丸」という認識は前世の記憶持ちの下級生らに未だに根強く浸透している。

「どうしたの、喜八瑠」

 返事を返すと、す、と喜八瑠の目が据わり殺気が迸る。不意に喰らった殺気に滝姫は思わず目をキツく閉じる。あれ、私何かしたかな? そんな疑問を持ちながら。

 私立大川学園には特定の前世の記憶保持者がいる。
 室町時代に忍術学園という忍を育てる学園で過ごした記憶。その後、忍として闇を欠けた記憶等々。
 大半がそうだと言っても過言ではない。勿論、その記憶を保持していない生徒もいるし、関係のない生徒もいる。そして分かり易いことに、関係者はなぜかその前世の頃の名前そのままか一部をもじってあるだけでほとんど同じだ。ついでに容姿はそのままだ。
 大抵、幼い頃からそのような記憶を持っている人間は発狂したり、精神を病んだりととかく悲惨な末路が多いのだが、ここに入学した人間は神経が幼いころから図太かったのか、或いは、その前世自体が幼い自我を乗っ取ってしまったのか……詳細は分からないが、とにかく記憶と今と折り合いをつけて日々を謳歌している。

 そういう人間が少なからずいる、綾部喜八瑠および平滝姫の在籍している高等部一年一組では、殺気に気付いた幾人かが何事だとばかりに振り返る。殺気の元が喜八瑠だと知ると、沸点の高い彼女にしては珍しい、と思い、そして一つの可能性に思い当たって彼らは彼らなりに納得して静観する構えを取る。

「無自覚方向音痴の中等部体育委員長」

 低く、女の子にはありえない程にドスの効いた声音。滝姫は、女の子がそんな声出すんじゃない! せっかく可愛いのに!! と叫びたかったが、彼女の眼はマジで人を殺しそうなほどに殺伐としていたので、あえて黙る。折角愛しの先輩と堂々と結婚し、伴侶となれる立場に転生してきたのだから、死にたくはない。
 そして彼女の放った単語が、自分の後輩である中等部三年二組に在籍する次屋三之助だと知り、それが何を意味するかを悟った滝姫は先手を放つ。

「私は知らないからな」
「協力してよ。私たち友達でしょ。」

 ぐん、と気温が低下する。ように錯覚しただけなのだが、それは滝姫だけでなくクラス全体に波及したようで……ぶるりと体を震わせる人間が幾人かいた。そこでようやく何かが変だと気付いた全員が、寒気の発生源である喜八瑠に目を留め、そして次に出てきた名によって彼女がなぜここまで殺気立っているのかを察する。


その二。

「喜八瑠先輩」

 高等部一年一組風紀委員の綾部喜八瑠がそこにいた。
 ただただ無表情で何も感じていないように。ただ、ぼう、と佇んでいた。職員棟につながる廊下に明るく西日が入り込む。陰影が濃くなり、どこか怪奇的な様相を呈する。喜八瑠の顔立ちが整っているせいでそれをさらに際立たせた。それはまるで鬼のようで。
 ふと、浮かんだ『鬼』という単語に藤内の脳内で警戒音が鳴った。何だろう、と思いつつも喜八瑠の声に現実に引き戻された。

「藤内」

 あれと楽しそうに笑う藤内。いつもより笑顔の藤内。やっぱりそれを選ぶんだ。

「藤内。立花先輩が呼んでる。一緒に行こう」

 怒ってる。

 藤内はそう感じた。
 基本的に喜八瑠はポーカーフェイスだ。些細な変化で感情を見分けなければならない。ほんのちょっと目元が和んだり、厳しくなったり。そんな些細な変化を。しかし、本当の無表情になることは滅多にない。それはただ怒ってる…というよりも怒髪天を突く様相だ。簡単に言うと、キレてる。沸点が高い彼女には珍しいことだ。
 だが、何に対して怒っているかは分からない。とにかく自分が今しなければならないこと。三之助を無事に生徒会室へ連れて行くことだ。
 だからそれを伝えた。

「三之助を生徒会室へ連れて行ってからでよろしいですか?」
「駄目。藤内、早く行かなきゃ」
 首を緩やかに横に振る。喜八瑠は足音も立てず滑るように二人に近づいた。
「でも…三之助が」
「駄目。そんなの、富松に任せればいい」
「作は」
「そこにいるじゃない。富松!」
 ちょうどタイミング良くというか悪くというか…作兵衛が昇降口から入ってきたところだった。作兵衛は呼ばれたことに反応したのと、その先に三之助が居たのとで、彼は怒鳴る態勢で口を開けた。が。
「あげるわ」
 そんな喜八瑠の声と共に三之助が飛んできた。喜八瑠が背負い投げの要領で三之助を投げ飛ばしたのだ。蛙が潰れるような悲鳴とともに、作兵衛はつぶれる。プチ不運の発生である。

「さ。行くよ藤内」

 つぶれた二人を無視して藤内の腕を引いて、喜八瑠は悠々と昇降口を出て高等部校舎へと向かった。
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私は彼女が幸せであるよう希う(再録:私が彼を嫌いな理由。&ハッピーエンドをつかみとれ!)(次浦+綾)
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1987/03/19
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五年(特にい組)と三年と綾部が好きな一般人←
最近ハートの国のアリスシリーズにハマったらしいです。
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