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色々ネタ置き場(主にRKRN)。 主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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其は天女というが、天女とはそう易々と下界に降りぬモノ。
九話目。

大詰め?

拍手[2回]



北條明日香(ほうじょうあすか)…「平成」から来たという天女と呼ばれる現代人。高校二年生。夢見る思い込みの激しい少女。この世界のヒロインなのだから何やっても良いのだと思っている。常識があるはずなんだけど、ぶっ飛んでる。

傍観主ら。:
柚月汐琉(ゆづきしおる)…くノたま四年。用具委員。天女と只今同室。実際は志帆と同室。天女の要望で天女の傍にいる。実際超嫌。でも周りが可哀想じゃないとかそんなん言って無理矢理そのまま。保健委員の親友を持つ者特有のプチ不運発動。ポルトガルとハーフな金髪緑眼の美少女。でもその容姿にコンプレックス。

五瀬志帆(いつせしほ)…くノたま四年。不運じゃない保健委員“狂科学者(マッドサイエンティスト)”の異名を持つ。根は優しいのだが、実験となると目の色を変える。
視力は良いが調合中は眼鏡をつける(目の保護のためと思われる)。伊達眼鏡

*川瀬明菜(かわせあきな)…五年は組。体は女だが心は男。物心ついた時から自分は男だと思っている。なので入学の際、学園長に頼み込み忍たまに。実家が薬師を生業としていて、勝手の分かりやすい保健委員に。三郎たちや五のはの生徒たちやくノたま上級生、委員会の生徒は理解してくれているのでそれなりに生活できる。

森野刃衣(もりのはごろも)…学園の近くに設けてある鍛冶工場の女鍛冶師。学園専属。九州は筑前の国の出。腕は良い。体育委員のランニングについていけるほどの体力がある。一年は組と仲が良い。

*の人に関してはナルちゃんの所で見てもらうと。。。
 



―――おかしい。
―――おかしい。
―――あれは本当に天女なのか。
―――くノ一と聞いたぞ。
―――確かにあの精鋭たちを手玉に取った。
―――そのような事、四姫たちくらいにしか出来ぬこと。
―――それをたかがあんな女が……。

―――確かな事は、

あの女が来てから学園の中が変わってしまったことだ。

―――やはり。
―――やはり。

―――あの女は居てはならぬもの。

 

 広がる噂。
 深く根付く疑惑。

 天女の味方は如何程ばかり。

 

 

「きゃあっっ!? だ、誰なの!? 痛い痛い痛い痛い痛い……!! 誰か……っ!!」

 夜中、ふいに上がる声に汐琉は飛び起きた。

「明日香さん!?」

 慌てて声の方へと向かうと、夜着の左袖を真っ赤に染めた明日香の姿。

「どうされたんですか?! ああ! それよりも医務室へ……!!」


 騒ぎに気付いたくノたまたちが大慌てで医務室へと明日香を運ぶのを手伝う。

 そうして、下手人を捜すために…精鋭と言われる忍たまたちが動き始めた。

 

 

 それを眼下に収めながら、その人物たちは桜色の唇を三日月の形に歪める。
 ひらり、と一人が手を振ると周りにいた数名の気配が辺りに散る。その気配もあっという間に夜の闇に溶け、騒然としている学園の生徒は気付くこともない。


 くすくすと最後の一人のささやかな笑い声が闇に溶け、それも気配を消し、その場を去った。

 

 


 鋭い刃物で切られた傷口は新野や伊作、明菜たちの手で綺麗に処置が施された。医務室へと来る前に行った志帆の適切な処置の賜物でもある。新野に褒められた志帆は嬉しそうに笑う。それは久々の心からの笑みでもあった。

 とりあえず、くノ一教室で起こった天女傷害事件のため明日香は医務室で眠ることになり、不審番として伊作と明菜が医務室に泊まり込むこととなった。他の者らは総出で下手人探しである。
 しかし、血眼になっているのは本当に一部の生徒で、大半は天女に疑惑を持っている者ばかり。適当に探しているフリをするだけ。


 そうして翌日。


 下手人と思しき人物が集められた全校生徒の前に引き出された。


 くノ一教室、四年くノ一組。保健委員。

 

 五瀬志帆。

 

 引き出された理由は、天女に親友の汐琉を取られた嫉妬。
 それだけだ。

 志帆はそう聞いて冷笑した。

「お馬鹿ですねえ、先輩方。それだけで私が下手人だと? ハッ! 馬鹿馬鹿しいにも程がありますよ。逆にお聞きしたいですね。それならば! なぜ! 私が天女に応急処置など施すのです。おかしいじゃないですか」

 そう声を上げると、伊作が口を開く。

「それは、君が保健委員で医者の娘だから。それが理由にならないかな」

「保健委員でも、医者の娘でも。私は忍ぶ際にはそれを一切捨てます。それに、私はこのような中途半端な行為は致しません」

 そうだそうだ。と四年のくノたまから声が上がる。

「先輩方志帆の手口を知らないんですか? この子潔いくらいにスパンと急所狙って即死させるんですよ。そんなちまちまと甚振るような行為はしませんってば!」
「尋問だったらもうそりゃネチネチと陰湿なまでに甚振る…アイタっ!」
「お馬鹿! それ言っちゃダメじゃん!」
「あ、そうか」
「ちょっと皆。私を助けたいのですか追い詰めたいのですか」

 印を上げたように笑う精鋭たちの表情に、拙い、と四年くノたまは小さくなる。

「……もう」
 志帆は眉間に指をあてて頭を振る。文次郎が言質を取ったとばかりに口を開く。
「では、お前が下手人で相違ないな」
「でーすーかーらー。それじゃあ証拠になりませんってば」

「潮江先輩。私から一つ申し上げてもよろしいですか」
「何だ。川瀬」

 五年は組の中から明菜が一歩進み出る。

「治療をした私の見解ですが。天女…北條明日香さんの傷の切り口なのですが……あまりにも綺麗に切れています」
「五瀬がやったのなら、道理だろう」
 こいつは四年のくノ一志望組の中でも実技教科共にダントツからな。
 そう仙蔵が割って入る。

「いえ。そういう意味でなく、伊作先輩も見ていらっしゃるからお分かりだと思いますが」
「……確かに。あれは普通の刃物じゃ無理だね。明日香さんが言うには小刀、と言っていたから……今学園内にある刃物であそこまで綺麗に斬れるようなものはないね。技術でどうにかなるかも知れないけど、確かに…志帆の腕じゃまだまだだ」
 保健委員長と代理の言葉に周りは納得する。

「そういえば。刃衣さんが試作で作っている良く斬れる小刀が消えた、と聞いたな」
 留三郎がそう呟くと、彼を一斉に全校生徒が注視する。
 そうして志帆に。
「でも私、刃衣さんの所には行っていませんが」
「この間刃衣さんが来られただろう」
 小平太が言うと、志帆は頷く。
「火傷の薬を取りに。食満先輩。お伺いします。その刃物が無くなったとお聞きしたのはいつですか」
 志帆の問いに留三郎が答える。
「つい先日だ。用具が保管している欠けた苦無や手裏剣を刃衣さんに直して貰って、受け取りに行った時。実際に俺もその小刀を見せてもらった。本当によく斬れるもので……明日香さんも見たはずだ」
 視線が今度は明日香に。明日香はそれに同意する。
「一応、柄と鍔は付いていて、大根を切って切り口がぴったり引っ付いちゃうの。すごく良く斬れるのね、って言ったら刃衣さん、そうやろ~ってすごく嬉しそうに言っていたわ」
「では違いますね。刃衣さんが来られたのはそれよりもっと前ですもの」


「志帆先輩を離してください!!」

 高い子どもの声が響く。
 浅葱の地に井桁模様の忍装束。。丸い大きな眼鏡をつけた子どもに吊り目の生意気そうな子ども、丸い小柄な子どもが後ろに紺色の忍装束の少年と浅黒い肌の凛々しい女性とを連れて全校生徒が集まるグラウンドに入る。

「……乱太郎? きり丸君に、しんべヱ君。尾浜先輩に刃衣さんまで」
 目を丸くして志帆が呟く。

「五瀬ー。何か大変そうだねえ。任務から帰ってきたらこの四人につかまっちゃって。これ探してきた」

 五年い組の尾浜勘右衛門が刃衣の右手に下がる小刀を指す。
 そうして全員の視線が刃衣の右手に集まる。

「ああ。すまんねえ。この四人にちょっとばかし手伝ってもらったっちゃん。小刀探し」
 黒漆の鞘に収まった簡素な小刀。懐や袂に入れても気づかれない程度の小型の刀だ。

「天女を傷つけたのは志帆先輩じゃありません!」
「一体誰だと思いますぅ?」
「本当に僕たちもびっくりしたんですよー」

 乱太郎、きり丸、しんべヱが口々に言うと、こめかみを引くつかせ文次郎が怒鳴る。

「さっさと言わんかバカタレィ!!」

「ええ~お駄賃弾んでくれますか~?」
「きーりーちゃあん……」
「あのね。きり丸。言って良い時と悪い時があるんだぞ?」
「えっとですね、」
「その、天女って子の行李の中とよ。ご丁寧に血は付いたままやし。刀の扱い方知らんっちゃろか。一から砥ぎ直しやん。結構上手く打てたと思ったっちゃけどなー…パアやな」
 しんべえのセリフを横から刃衣が掻っ攫い、衝撃の事実を口にした。

「……どういうこと?」

 明日香に向かって、やっぱり、と確信した視線が疑っていた忍たまたちから向けられる。
 そうして、裏切られた、という視線。

「自作自演ですか。最低ですね」

 ふん、と鼻を鳴らして志帆が嫌悪の視線を明日香に向ける。

「し…知らないわ! 知らないの! 私そんなの知らない……!! だって私自分でしないもの! だって斬られたのよ!? 私、斬られたんだから!!」

 慌てて明日香は必死に喚いた。
 だって、私はヒロインだもの! こんなことしなくても、私はあなたたちの心を手に入れた! そうでしょう!?
 けれど、一度冷えた心は再び温かくなる事もなく、彼らは冷えた視線を彼女に向けるのみ。口々に周りから非難の声が上がる。

「明日香さん……」
「……そんな方だとは思いませんでした…」
「そこまでして、私たちを傍に置きたかったのですか」

「………五瀬、すまなかった」
「いいえ。掴まれた所が痣になったくらいですから」
「げ。すまん」
「志帆。あとで膏薬を塗ってあげるから…」
 文次郎が謝り、志帆が恨みがましげに答え、眉を八の字に下げた伊作がよしよしと志帆の頭をなでた。単純、と志帆は心の中でそっと思う。

「じゃあ、あの噂は本当なのか」
「あのくノ一とかって噂ですか?」
「要は哀車の術だからな」
「白と見せかけて……か」

 

「知らない知らない! 何にも知らない! 知らないってば! ねえ! 何でみんなそんな目で私を見るの!? 私本当に知らないのよ?! お願い信じて! ねえ! きゃあっ!!」

 くノたまが騒ぐ明日香の身を拘束する。

「アンタのお陰で志帆が疑われたのよ」
「ついでに。アンタがどれだけ周りを掻き乱してくれたか…いい加減にしてほしいわ」

 ぎり、と傷口を強く掴まれる。あまりの痛さに明日香は悲鳴を上げる。
 全校生徒が口々に騒ぐ。

 殺せ。学園を混乱に陥れたその女を殺せ……!

 

「お待ちなさい。殺すのは早計だわ」

 凛と少女の声が喧騒を切り裂くように響いた。


 


色々詰めが甘いんだけどね。。。
うん。。。

皆興奮してて判断能力がないんだと思って。
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