色々ネタ置き場(主にRKRN)。
主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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サイドワインダーと名高い小松田の目をどうにか盗んで目立たない場所に出た沙衣は、人の耳では聞き取りにくい高い音域の指笛を鳴らす。その音に反応した二頭の狼は器用に塀を乗り越えて沙衣の後を追う。
「さぁて、天女を狩ってしまいましょうね。志郎丸、玖郎丸。とても不味いかもしれないけれど…我慢して頂戴な」
タンッ、と軽やかに地を蹴ると素晴らしい速さで沙衣は疾走する。その隣を二頭の狼が並走する。場所は裏裏山の外れ…滅多に人が訪れる事のない場所である。
「三郎君…まだ、歩くの……?」
「ああ、もう少し。とても、良い場所なんだ」
誰にも見咎められない、な。
三郎は前を歩きながら、にぃ、と口の端を吊り上げた。
「きゅ、休憩…」
「……うーん、そうだなあ…」
三郎は素早く周囲の気配を探る。どうやら人間の気配はないようだ、が…。用心に用心を重ねろ、と沙衣からのお達しだ。この辺りはまだ生徒が立ち入る場所。休んでいて見咎められでもしたら…計画は御破算である。
例え、心愛がまだ沙衣の変装をしているとしても、任務だと偽っての外出だ。それに仕草を見れば簡単に沙衣ではないと分かる。
背に腹は代えられない、と三郎はへばりかけの心愛の了解を得ずにひょいっとその体を肩に担ぎ上げた。
「きゃ…っ!?」
「少々不自由かと思うが…我慢しろ」
舌をかむなよ、との優しい忠告を一応してやって、三郎は山を駆けた。
背の高い草や低木等に囲われた洞窟の前に桃色の装束の少女が腕を組んで立ち、白い狼と黒い狼が少女の傍らに鎮座している。
「遅いわよ、三郎」
「申し訳ありません。沙衣先輩」
にこりとも笑わない沙衣の言葉に、にやりと笑んで三郎は答える。第三者がいる、という事に心愛は戸惑う。しかも沙衣は今頃自分の代わりに学園に居る筈なのではないか、と。
「沙衣、ちゃん…?」
「ご機嫌よう? 天女様。アンタの役柄はちゃんとこなしてきてよ? 笑ってりゃいいんだから楽なもんよね」
とん、と足が地面につき、正面切って沙衣と相対すると、沙衣のあまりにも冷ややかな視線に背筋が凍る。くすくすと沙衣は冷笑しながら、自分と同じ顔を眺める。
「天女様は自分が嫌われる事はない、と思ってらっしゃるのよねぇ?」
沙衣は彼女に近寄って、変装を剥ぐ。零れ落ちる明るい色の巻き毛、大きな黒目がちの瞳には恐怖が湛えられ、ぽってりとした桃色の唇も震えている。
「……沙衣ちゃんは…私の事が羨ましいの?」
それなのに、出てきた言葉がこれで、沙衣は怒りを通り越して呆れた。
「……は?」
「だってそうでしょう? 私は皆に愛されているもの。だから、羨ましいんでしょ?」
言っていく内に自身が付いたのか、瞳から恐怖は消え去り、嬉々とした光が点る。眉間に指を当て、沙衣はふう、と溜息をついた。
「アンタは、私以外に愛されていると、そう思うわけね。良いわ、そういう事にしといてあげる。でも、全てが味方であるはずならば……そこの三郎はどうなのかしら」
はた、と今気付いたかのように心愛は後ろを振り返って三郎を見上げる。三郎は先程から何の感情もこもらない表情で心愛を眺めているだけだ。
「三郎君は…私の事、好きだって、ラブレターくれたもの。だから…私の事、好きなの……」
そうでしょう? 心愛が三郎の手を取ろうとすると、その手を跳ねのけられる。
「……俺たちの大事なものを掠め取ったお前に好きだのと本気で言うと思っているのか?」
え…。と声にならない呟きを心愛はもらす。三郎の目は憎悪と嫌悪の色を湛え、心愛を睨みつける。
「お前さえ、いなくなれば……。全部元通りだ」
す、と心愛の喉笛に向かって三郎の手が伸びた。
「さぁて、天女を狩ってしまいましょうね。志郎丸、玖郎丸。とても不味いかもしれないけれど…我慢して頂戴な」
タンッ、と軽やかに地を蹴ると素晴らしい速さで沙衣は疾走する。その隣を二頭の狼が並走する。場所は裏裏山の外れ…滅多に人が訪れる事のない場所である。
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「三郎君…まだ、歩くの……?」
「ああ、もう少し。とても、良い場所なんだ」
誰にも見咎められない、な。
三郎は前を歩きながら、にぃ、と口の端を吊り上げた。
「きゅ、休憩…」
「……うーん、そうだなあ…」
三郎は素早く周囲の気配を探る。どうやら人間の気配はないようだ、が…。用心に用心を重ねろ、と沙衣からのお達しだ。この辺りはまだ生徒が立ち入る場所。休んでいて見咎められでもしたら…計画は御破算である。
例え、心愛がまだ沙衣の変装をしているとしても、任務だと偽っての外出だ。それに仕草を見れば簡単に沙衣ではないと分かる。
背に腹は代えられない、と三郎はへばりかけの心愛の了解を得ずにひょいっとその体を肩に担ぎ上げた。
「きゃ…っ!?」
「少々不自由かと思うが…我慢しろ」
舌をかむなよ、との優しい忠告を一応してやって、三郎は山を駆けた。
背の高い草や低木等に囲われた洞窟の前に桃色の装束の少女が腕を組んで立ち、白い狼と黒い狼が少女の傍らに鎮座している。
「遅いわよ、三郎」
「申し訳ありません。沙衣先輩」
にこりとも笑わない沙衣の言葉に、にやりと笑んで三郎は答える。第三者がいる、という事に心愛は戸惑う。しかも沙衣は今頃自分の代わりに学園に居る筈なのではないか、と。
「沙衣、ちゃん…?」
「ご機嫌よう? 天女様。アンタの役柄はちゃんとこなしてきてよ? 笑ってりゃいいんだから楽なもんよね」
とん、と足が地面につき、正面切って沙衣と相対すると、沙衣のあまりにも冷ややかな視線に背筋が凍る。くすくすと沙衣は冷笑しながら、自分と同じ顔を眺める。
「天女様は自分が嫌われる事はない、と思ってらっしゃるのよねぇ?」
沙衣は彼女に近寄って、変装を剥ぐ。零れ落ちる明るい色の巻き毛、大きな黒目がちの瞳には恐怖が湛えられ、ぽってりとした桃色の唇も震えている。
「……沙衣ちゃんは…私の事が羨ましいの?」
それなのに、出てきた言葉がこれで、沙衣は怒りを通り越して呆れた。
「……は?」
「だってそうでしょう? 私は皆に愛されているもの。だから、羨ましいんでしょ?」
言っていく内に自身が付いたのか、瞳から恐怖は消え去り、嬉々とした光が点る。眉間に指を当て、沙衣はふう、と溜息をついた。
「アンタは、私以外に愛されていると、そう思うわけね。良いわ、そういう事にしといてあげる。でも、全てが味方であるはずならば……そこの三郎はどうなのかしら」
はた、と今気付いたかのように心愛は後ろを振り返って三郎を見上げる。三郎は先程から何の感情もこもらない表情で心愛を眺めているだけだ。
「三郎君は…私の事、好きだって、ラブレターくれたもの。だから…私の事、好きなの……」
そうでしょう? 心愛が三郎の手を取ろうとすると、その手を跳ねのけられる。
「……俺たちの大事なものを掠め取ったお前に好きだのと本気で言うと思っているのか?」
え…。と声にならない呟きを心愛はもらす。三郎の目は憎悪と嫌悪の色を湛え、心愛を睨みつける。
「お前さえ、いなくなれば……。全部元通りだ」
す、と心愛の喉笛に向かって三郎の手が伸びた。
天女は独りよがりな愛を語り、
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かんたんなはなし(タカ綾)
この好きは『好き』でいいのでしょうか?(次浦+綾)
私は彼女が幸せであるよう希う(再録:私が彼を嫌いな理由。&ハッピーエンドをつかみとれ!)(次浦+綾)
海に関するetc.(次浦+綾(タカ綾))
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1987/03/19
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五年(特にい組)と三年と綾部が好きな一般人←
最近ハートの国のアリスシリーズにハマったらしいです。
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