色々ネタ置き場(主にRKRN)。
主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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―――ずっと、伝えたかったんだ。
『昔』俺に黙って消えてしまった君に。
追い駆けても、するりと足跡も残さず俺から逃れる君に。
いっぱい、いっぱい、俺は君を傷つけた。
気付いたのは君が目の前から消えてしまった後。
後悔は先に立たないとは言うけれど、何で気付かなかったんだろう、って、君が消えてしまって何度思ったことか。
今、目の前には笑っている君がいる。
最後の記憶より少しだけ幼い、勘ちゃん。
後ろで携帯を使って写真を撮ってる北石照代さんとはどういう関係なのかがものすごく気になる所だけど。
まぁ、それはすぐに勘ちゃんが説明してくれた。
この時代では勘ちゃんのお姉さんなのだ、と。
……そういうことも、あるんだ、と。ちょっと不思議に思う。
そう、それよりも。
「勘ちゃん」
「何? ひーちゃん」
名前が久々知兵助から久々知氷華に変わったから勘ちゃんが私を呼ぶ音も『へーちゃん』から『ひーちゃん』に変わった。ちょっとそれは寂しい。でもその音は勘ちゃんだけの音だから。それで十分だ。
「ずっとね、勘ちゃんに伝えたかったことがあるんだ」
「『俺』に伝えたいこと?」
はてな、と勘ちゃんは軽く首を傾げた。ぱちくりと丸い目が瞬く。
「『昔』と今の勘ちゃんに。伝えたいこと。いなくなって初めて気付いた、こと」
どきどきと、心臓が早鐘を打つ音がする。
あぁ、ずっと、ずっと伝えたくて仕方がなかったこと。
きっと、受け入れてはもらえない。だって君はずっと俺の前から逃げていた。足跡も何も残さずに、俺が近づくごとにするリするりと逃げ水のように。近くにいたのに遠くに行ってしまう君をどれだけ歯がゆく思ったか。
追いかけて、逃げられて。
どれだけ俺が君を傷つけたのか。どれだけ俺に君が必要なのか。謝りたくて、伝えたくて。
君が俺以外の友人に送る文には君の近況や友人たちへの近況の問いかけがあって、俺のことも触れられていて。会いたいけど、会いたくないなんて。そんな言葉がいつも綴られていた。
俺が土井先生に抱いていた憧れを恋だと勘違いしていたから、そんな俺を君が励ましてくれていたから。気づくのは遅くて、気付いたらもう手遅れで。
零れた水が返らないように、君も俺の手の中から滑り落ちていた。
二人とも大馬鹿者だ。そう言ったのは三郎だったか。三郎は俺の次に勘ちゃんと近かった分結構それに関しては迷惑を被っていたらしい。まあ三郎だからとくに済まないとも思わないけど。一応ごめんとは謝っておいた。一応礼儀として。
にこにこと笑みを浮かべる君が目の前にいる。
ぎゅ、と勘ちゃんの袖を掴む。ぱちり、と勘ちゃんの目が一つ瞬き。
「私はずっと勘ちゃんが好きなの。大好き」
勘ちゃんの丸い目が大きく見開かれて、勘ちゃんの動きの全てが止まる。
「受け入れられなくても良い。ずっと伝えられなかったから、勘ちゃ」
最後まで言い終わらないうちに、私は勘ちゃんに抱きしめられる。記憶とは違う勘ちゃんの匂いに私は戸惑った。
「…かん、ちゃん?」
名前を呼ぶとぎゅうっ、と力を込められる。
「俺もひーちゃんが好き」
今度は私がぱちりと大きく瞬いた。
「ずぅーっとずっと好きなんだ。初めて会った時からずっと。今生で逢うことが出来たならどんな手段を使ってでも手に入れたいと思ったくらいに」
ひーちゃんが言ってくれなかったら絶対ヤンデレ化してたよ。と勘ちゃんは言う。
……やんでれ? って何だろう。
ぎゅっと抱きしめてくれる体にそろそろと腕を回す。
「勘ちゃんがまだ私を好きでいてくれて良かった」
「うん。もう絶対逃がさないから」
言葉尻がどこか不穏な匂いを漂わせたのは多分きっと気のせいだろうと思いつつ、そこでハタと私たち二人の様子を注視している人物を思い出す。……そう、照代さん。
ニヤニヤ笑いの照代さんに気付いた途端に私は音がするくらいに顔が熱くなるのを感じる。
「かかかかかかかか勘ちゃんっっ!!」
「ん? 照姉? 気にしないで良いよ。彼氏いない歴云年の照姉とか」
「勘右!!」
照代さんの怒声に勘ちゃんはゆっくりと私から離れる。そして私の手を取って振り返った。
「うるさいなあ。ホントのことだろ? イチイチ怒るなよ照姉ー」
「誰が彼氏いない歴云年なのよ!!」
「え!? いるの!?」
「…いないけど」
「ほぉらー。ねーねーひーちゃん。この後時間があるなら家においでよ。ひーちゃん豆腐好きでしょ? 家豆腐屋なんだー」
「行く!!!」
照代さんとの掛け合いを適当にやり過ごした勘ちゃんの申し出に一も二もなく私は頷いた。つまり、勘ちゃんと一緒にいたら豆腐食べ放題……っ!! 何て魅力的な…っ!!!
「あははっ。やっぱりひーちゃん変わらないねぇ。俺と一緒にいたら豆腐食べ放題って顔に書いてあるよ」
「え!」
「豆腐で釣れるならいくらでも提供するよ。ずーっと俺から逃げられないようにしてあげる!」
にこにこと晴れやかな笑顔を浮かべる勘ちゃん。
「大好きだよ。ひーちゃん。もう俺から逃げないでね?」
ぞわりと背筋を悪寒が走ったのは気のせい。目の前の勘ちゃんは記憶の通りの優しい笑みを浮かべていて。私が繋いでいる手をぎゅっと握ると、勘ちゃんは瞳を瞬かせてまた破顔する。ぎゅっと握り返された手の力は心地よい強さで。私も目元を緩めた。
「勘ちゃん、大好き」
今はそれが全部。
一応、勘ちゃんヤンデレ回避計画だったんだ。
でも、まったくもって功を奏していない。
どれだけ私の中で勘ちゃんはヤンデレという思い込みが強いのかって話。
『昔』俺に黙って消えてしまった君に。
追い駆けても、するりと足跡も残さず俺から逃れる君に。
いっぱい、いっぱい、俺は君を傷つけた。
気付いたのは君が目の前から消えてしまった後。
後悔は先に立たないとは言うけれど、何で気付かなかったんだろう、って、君が消えてしまって何度思ったことか。
今、目の前には笑っている君がいる。
最後の記憶より少しだけ幼い、勘ちゃん。
後ろで携帯を使って写真を撮ってる北石照代さんとはどういう関係なのかがものすごく気になる所だけど。
まぁ、それはすぐに勘ちゃんが説明してくれた。
この時代では勘ちゃんのお姉さんなのだ、と。
……そういうことも、あるんだ、と。ちょっと不思議に思う。
そう、それよりも。
「勘ちゃん」
「何? ひーちゃん」
名前が久々知兵助から久々知氷華に変わったから勘ちゃんが私を呼ぶ音も『へーちゃん』から『ひーちゃん』に変わった。ちょっとそれは寂しい。でもその音は勘ちゃんだけの音だから。それで十分だ。
「ずっとね、勘ちゃんに伝えたかったことがあるんだ」
「『俺』に伝えたいこと?」
はてな、と勘ちゃんは軽く首を傾げた。ぱちくりと丸い目が瞬く。
「『昔』と今の勘ちゃんに。伝えたいこと。いなくなって初めて気付いた、こと」
どきどきと、心臓が早鐘を打つ音がする。
あぁ、ずっと、ずっと伝えたくて仕方がなかったこと。
きっと、受け入れてはもらえない。だって君はずっと俺の前から逃げていた。足跡も何も残さずに、俺が近づくごとにするリするりと逃げ水のように。近くにいたのに遠くに行ってしまう君をどれだけ歯がゆく思ったか。
追いかけて、逃げられて。
どれだけ俺が君を傷つけたのか。どれだけ俺に君が必要なのか。謝りたくて、伝えたくて。
君が俺以外の友人に送る文には君の近況や友人たちへの近況の問いかけがあって、俺のことも触れられていて。会いたいけど、会いたくないなんて。そんな言葉がいつも綴られていた。
俺が土井先生に抱いていた憧れを恋だと勘違いしていたから、そんな俺を君が励ましてくれていたから。気づくのは遅くて、気付いたらもう手遅れで。
零れた水が返らないように、君も俺の手の中から滑り落ちていた。
二人とも大馬鹿者だ。そう言ったのは三郎だったか。三郎は俺の次に勘ちゃんと近かった分結構それに関しては迷惑を被っていたらしい。まあ三郎だからとくに済まないとも思わないけど。一応ごめんとは謝っておいた。一応礼儀として。
にこにこと笑みを浮かべる君が目の前にいる。
ぎゅ、と勘ちゃんの袖を掴む。ぱちり、と勘ちゃんの目が一つ瞬き。
「私はずっと勘ちゃんが好きなの。大好き」
勘ちゃんの丸い目が大きく見開かれて、勘ちゃんの動きの全てが止まる。
「受け入れられなくても良い。ずっと伝えられなかったから、勘ちゃ」
最後まで言い終わらないうちに、私は勘ちゃんに抱きしめられる。記憶とは違う勘ちゃんの匂いに私は戸惑った。
「…かん、ちゃん?」
名前を呼ぶとぎゅうっ、と力を込められる。
「俺もひーちゃんが好き」
今度は私がぱちりと大きく瞬いた。
「ずぅーっとずっと好きなんだ。初めて会った時からずっと。今生で逢うことが出来たならどんな手段を使ってでも手に入れたいと思ったくらいに」
ひーちゃんが言ってくれなかったら絶対ヤンデレ化してたよ。と勘ちゃんは言う。
……やんでれ? って何だろう。
ぎゅっと抱きしめてくれる体にそろそろと腕を回す。
「勘ちゃんがまだ私を好きでいてくれて良かった」
「うん。もう絶対逃がさないから」
言葉尻がどこか不穏な匂いを漂わせたのは多分きっと気のせいだろうと思いつつ、そこでハタと私たち二人の様子を注視している人物を思い出す。……そう、照代さん。
ニヤニヤ笑いの照代さんに気付いた途端に私は音がするくらいに顔が熱くなるのを感じる。
「かかかかかかかか勘ちゃんっっ!!」
「ん? 照姉? 気にしないで良いよ。彼氏いない歴云年の照姉とか」
「勘右!!」
照代さんの怒声に勘ちゃんはゆっくりと私から離れる。そして私の手を取って振り返った。
「うるさいなあ。ホントのことだろ? イチイチ怒るなよ照姉ー」
「誰が彼氏いない歴云年なのよ!!」
「え!? いるの!?」
「…いないけど」
「ほぉらー。ねーねーひーちゃん。この後時間があるなら家においでよ。ひーちゃん豆腐好きでしょ? 家豆腐屋なんだー」
「行く!!!」
照代さんとの掛け合いを適当にやり過ごした勘ちゃんの申し出に一も二もなく私は頷いた。つまり、勘ちゃんと一緒にいたら豆腐食べ放題……っ!! 何て魅力的な…っ!!!
「あははっ。やっぱりひーちゃん変わらないねぇ。俺と一緒にいたら豆腐食べ放題って顔に書いてあるよ」
「え!」
「豆腐で釣れるならいくらでも提供するよ。ずーっと俺から逃げられないようにしてあげる!」
にこにこと晴れやかな笑顔を浮かべる勘ちゃん。
「大好きだよ。ひーちゃん。もう俺から逃げないでね?」
ぞわりと背筋を悪寒が走ったのは気のせい。目の前の勘ちゃんは記憶の通りの優しい笑みを浮かべていて。私が繋いでいる手をぎゅっと握ると、勘ちゃんは瞳を瞬かせてまた破顔する。ぎゅっと握り返された手の力は心地よい強さで。私も目元を緩めた。
「勘ちゃん、大好き」
今はそれが全部。
一応、勘ちゃんヤンデレ回避計画だったんだ。
でも、まったくもって功を奏していない。
どれだけ私の中で勘ちゃんはヤンデレという思い込みが強いのかって話。
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うん。。。ヤンデレ。。。
ありがとう。
好きって言ってもらえるだけですごく嬉しい。
何度構成をいじくっても、どうやっても、勘ちゃんヤンデレ回避できなかった…。もう完璧に「勘ちゃん=ヤンデレ」な私の脳内…。
好きって言ってもらえるだけですごく嬉しい。
何度構成をいじくっても、どうやっても、勘ちゃんヤンデレ回避できなかった…。もう完璧に「勘ちゃん=ヤンデレ」な私の脳内…。
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HN:
いお
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/03/19
自己紹介:
五年(特にい組)と三年と綾部が好きな一般人←
最近ハートの国のアリスシリーズにハマったらしいです。
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