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色々ネタ置き場(主にRKRN)。 主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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遅刻した四年話。
遅れたくせにイマイチ。何ということでしょう。

滝はお母さんだと思う。委員会とか喜八郎に関して。


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 いけいけどんどーんと六年の暴君の独特な掛け声が遠くから聞こえた。

 四年い組綾部喜八郎は大分掘り進めた蛸壺の底から空を見上げた。ぽかりとまぁるく切り取られた青は春特有の淡い色。ひつじ雲がゆっくりと空を流れていくのを眺めて、大きな目はひとつ瞬き喜八郎は蛸壺堀りを再び開始した。
 タコシロー5号を完成させ、新しいものを掘り進める。

 ぽかりとまぁるく切り取られたのは朱と橙。もうじき紫や群青も入り込む色。

 カーンと鳴る鐘の音を聴いて、喜八郎はおやまぁ、と呟く。

 夕飯の時間だ。


「喜八郎」

 と声が降る。
 聞き慣れた声に喜八郎は無言で見上げる。

「滝、委員会があった割に元気そうだね」

 委員会で普段よりくたびれた様子の滝夜叉丸は幾分呆れたようにため息をついた。

「今日の活動には迷子がいないからな」
少々マシだったのだ。

 あぁ、と喜八郎は納得した。あの傍迷惑な迷子たちや大好きな藤内は校外実習で不在だった。
 そもそも今回の蛸壺作製だって、藤内と約束した町行きが唐突に降って湧いた実習で行けなくなってしまった腹いせだったのだ。

「ほら、お前も私もバッチイんだから風呂に入ってから食堂行くぞ」
「はーい」

 よいしょ、と蛸壺から這い上がった喜八郎の土まみれの体を滝夜叉丸がパタパタと叩く。

「滝、母上みたいだね」

 されるがままの喜八郎はぽつりとそう呟いた。滝夜叉丸は喜八郎と視線も合わせず彼の頭巾を剥ぎバサバサと振りながら答える。
「私はお前を産んだ覚えはないぞ」
「産めたらすごいよ。七松先輩の子を孕まされるよ」

「………」

 無言で頭巾を巻き直してやる滝夜叉丸の表情は渋い。

「いいか、喜八郎。冗談でもそのようなことを言うな。私の身が危うい」

 辺りの気配を窺いながら滝夜叉丸は静かに言葉を紡ぐ。喜八郎にとって滝夜叉丸と言う人間はぐだぐだだけども世話焼きの良い友人で三番目くらいに大好きな存在だ。(だから余計に三之助が疎ましいのだ)
 あんまり大変な目に合うのは偲びない。

「はーい。滝、私お腹空いた。」

 袖を引きながら喜八郎が言うと、うむ、と滝夜叉丸が頷く。

「私もだ。早く風呂を済ませて夕飯を食べよう」


 二人並んで歩いていると、右手からガラガラと石火矢のユリコを牽いている三木ヱ門と金色の髪が目立つタカ丸が歩いてきた。
「タカ丸さんと三木だ」
 喜八郎が言うと、二人の視線がこちらを向いた。

「喜八郎くん、滝夜叉丸くん。今からご飯?」

 パタパタとタカ丸が喜八郎たちの方へと駆け寄ってくる。その進路に「あ」と喜八郎が小さく呟き、その声と視線の先の目印に気付いた滝夜叉丸が「待っ」と声をあげたと同時に。

「うわぁああぁぁあああぁあっ!!?」

 蛸壺に落ちたタカ丸。

「だーいせーいこー、って言うべき?」

 滝夜叉丸を見て首を傾げる喜八郎の頭を叩き、滝夜叉丸は蛸壺に駆け寄る。

「タカ丸さん!大丈夫ですか!?」
「な、なんとかぁ~…」

 三木ヱ門もユリコを牽いて走ってくる。

「大丈夫ですか?今引き上げますから!」

 そうして二人は未だぽつんと突っ立っている喜八郎に視線を向ける。一字一句違わず、タイミングも全く同じに口を動かす。

「「さっさと手伝えバカ!」」

 喜八郎は肩を竦めて蛸壺に近寄り、落ちたタカ丸に一言。

「滝夜叉丸4号に落ちるなんて、タカ丸さん注意力散漫ですよ」
 滝夜叉丸シリーズは自己顕示欲が強いので不運委員以外はあんまり落ちないんですよ。
「普通逆だろう!巧妙すぎて上級生が気付かず落ちてしまうのが私の名を冠するシリーズだろう!?」
 そう滝夜叉丸が喚くと、にやりと三木ヱ門が笑う。
「いやいや。喜八郎の言う通りだ。むしろそういうシリーズは学年のアイドルであり火器の扱いは学年一である、この私、四年ろ組田村三木ヱ門の名を冠するべきだ」ふふーんと三木ヱ門が胸を張ると、三木ヱ門をチラとも見ずに喜八郎は答える。

「三木ヱ門シリーズも自己顕示欲が強いので不運委員以外はあんまり落ちない」
「解説は良いから助けて~」
 穴の底でピョンピョンとタカ丸が跳んでもギリギリ穴の縁に指の先がかする程度。
 かなり深い。
 喜八郎が跳んだタカ丸の腕をタイミング良く掴んでぐい、と引っ張る。普段踏み鋤で蛸壺を掘っているお陰で、同年代の忍たまの中でも喜八郎の膂力は半端ない。
 引っ張り上げたタカ丸の体を先程の滝夜叉丸のように叩いてやる。

「ありがとう。喜八郎くん」
 タカ丸が礼を言うと、滝夜叉丸が口を挟む。

「礼を言う必要はないですよ。タカ丸さん。元はと言えば喜八郎が原因です」

「でも競合地帯には罠の設置が自由だから、かかった僕が悪いんだよ」
 で、そんな僕を助けてくれたからありがとう。
 にこにことタカ丸は笑顔で言う。
「……まぁ、確かに…」
 滝夜叉丸が答えると、喜八郎がタカ丸の袖を引く。

「タカ丸さん、お風呂行きましょう」
「? あ、そうだね~。汚れてたらおばちゃんに怒られるもんね」
「三木も行くでしょ」
「ああ」


 四人並んで夕暮れ時。

 それはいつの間にか日常と化した出来事。
 束の間の優しい時間。
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