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色々ネタ置き場(主にRKRN)。 主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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三年再会編、後編。



拍手[2回]




 ぶぅ、とむくれた少年はこちらにきづくとパッと笑顔になりぶんぶんと手を振った。

 「さくべー!さんのすけにまごへにかずまー!!」

「「「「左門!!?」」」」

 神崎左門は友人たちに近づこうと車を降りる。
 即座に彼の母親と長いこと彼の保護者であった作兵衛から「動くな!」と制止の声が上がった。

 数と孫兵に三之助を任せると、作兵衛は左門の下へ駆け寄る。


「さくべ!」
「お前、生まれ変わっても方向音痴なのかよ……」
 呆れたように作兵衛が言うと当然だ、と左門は胸を張る。

「方向音痴は僕のあいでんてぃてぃーだ!」
「そんなアイデンティティーは捨てちまえ!」
 『昔』の癖で思わず脳天に拳骨を喰らわせ、作兵衛はヤバいと顔を歪めた。運転席には呆気に取られた表情の彼の母親。

 俺初日から停学処分食らって、傷害罪で罰金か懲役か……!?十三歳にて札付きに……!!


「……左門、その子が作兵衛?」
 そんな妄想炸裂の作兵衛を無視して、ポツリと母親が問う。左門は大きく頷いて嬉しそうに答えた。

「うん!あっちには三之助に孫兵に数馬がいる! …作兵衛、藤内は?」
「まだ会ってない。つーかお前、親に言ったのか。『昔』のこと」
 腕を引かれ、現実世界に戻った作兵衛は驚いたように言う。妄想炸裂でも一応会話は聞こえていたらしい。
「母さんは小説家だからな!!ネタができて助かる~って程度だ!」
 そう左門が言うとそれを裏付けるかのようにカラカラと母親が笑う。
「いっやまさかホントに居るとは思わなかったけどね。それなら良いお守り役がついてくれて助かるわ~。じゃ、母さん一旦帰るから!作兵衛くん頼んだ!」

 運転席側から助手席のドアを閉めると、滑るように車を発進させた。







「でもすごいな!!あとは藤内が居たらいつものメンバーだ」
 作兵衛に腕を引かれた左門がそう言うと、数が嬉しそうに笑う。
「そうだね!皆覚えてるんだもん。また昔みたいに仲良くできるよ」
「つか、左門。お前、車だったけど家何処だ?寮だと昨日から入寮してるだろ」
 作兵衛が問うと左門は「あぁ」と答える。

「僕は大川市在住だぞ」
「俺も数も大川市在住なんだけど」
「私たちは大川中央小だよ」
「僕は東小だ!」
「海側か。会わねぇな」

「孫兵は?俺は県外」
「僕は市外だよ」

 ふと数が時計を見て腕を振った。

「あ、そろそろ教室いかな」

 みなまで言い終わらぬ時に、数が振った腕がべちんと誰かにぶつかる。

「!?ごめんなさいっ!」
 顔を手のひらで覆う黒髪の少女に慌てて数は謝る。少女は空いた手を振り、平気…と答える。
 覆っていた手のひらを外し、少女は苦笑した。

「私も、前方不注意だったから」

 おや、と彼女は首をかしげた。

 そこに溜まっていた五人が一様に目を丸く見開いて唖然と自分を見ているのだ。

「……あの」
 彼女が声をかけるのと、三之助が動いたのは同時だった。

「藤内!!」

 何の身構えもなかった彼女は、三之助の突進に耐えられるはずもなく、彼自身も力の加減なんて更々考えていなくて。
 二人もろとも地面に倒れ込んだ。
 頭は三之助が咄嗟に庇ったので、彼女は煉瓦舗装された地面に尻餅をついた痛みと、真新しい制服が早々に汚れた、という事実に憤慨した。

「何するのよ!?」
「藤内……っ!」
 名前をもう一度呼ばれ、彼女は首をかしげた。

「…私、アンタなんか知らないんだけど。何で私の名前知っ」
「くぉんのくそバカの助がぁぁああああっっ!!」

 ドスの利いた声と共に、目の前の少年が吹っ飛び、少女は唖然とその光景を見つめるだけとなった。そんな彼女に、白い滑らかな繊手が目の前に出される。手から腕、肩、と順繰りに見ていくとそこには秋に出会った美少女。

「大丈夫?藤内、怪我はないかしら」
「喜八瑠先輩」
 名前を呼ばれた元・綾部喜八郎な綾部喜八瑠(きはる)はにこりと嬉しそうに微笑んだ。喜八瑠を追いかけてきた元・平滝夜叉丸な平滝姫(たき)がギョッとしたように目を剥くが、相手が彼女なら仕方がないかと、多分今回も委員会の後輩であろう三之助の下へ向かった。

…………よく吹っ飛んだなぁ。

「立てる?」
「はい。ありがとうございます」
 喜八瑠の手を取り藤内は立ち上がる。喜八瑠は素早く矢羽を飛ばす。

『藤内は昔を憶えていないんだからね。初対面らしく振る舞いなよ。特にそこのバカの助』

 ギンッ、と喜八瑠は苛立ちを込めた視線を三之助に向ける。
 他の四人からの怒濤の質問の矢羽に喜八瑠はこの一言で済ませた。

「秋の見学日以来ね。また会えて嬉しいわ」
「絶対受かるって言いましたから」
 藤内がはにかんで答えると、喜八瑠は彼女の頭を一撫でする。

「入学おめでとう、藤内」

 誰もが見惚れる笑みで以て、喜八瑠は祝いの言葉を述べた。



 四人プラス滝姫、その他これを傍観していた面々は波乱の幕開けを感じ取って深々とため息をついたのは言うまでもない。



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