色々ネタ置き場(主にRKRN)。
主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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ざわりと夜が蠢いた。
木の上で不貞寝をしていた三郎はぱっと飛び起きて辺りを窺った。齢五百をやっと数えようという狐精は色素の薄い瞳を暗闇で光らせて気配を消しながらゆるりと動き出した。
「白鴉の稚児は手に入れたが…」
「しかしこの稚児の母親は我らが風魔の一族のものであろう? 何故こうこそこそと拐かすような真似をせねばならん」
「リリーさまの命だが…ぬ!?」
「追手じゃ!!」
「稚児はこの木の洞に隠して……」
赤子の泣く声が聞こえた気がして三郎はそちらへと足を向ける。
赤子はあまり好きではない。壊れそうな柔らかい体を抱え上げるのは空恐ろしいものがある。
『そんなに構えなくとも大丈夫だよ三郎。ややはそんな簡単に壊れちゃあしないんだから』
当の昔に失った片割れがにこにこ笑いながら放った言葉が脳裏に蘇る。
そうやって声のする方へと歩を進め、一本の木の前に立つ。
ご丁寧に隠された洞を見つけ、その中に丸い目をきょとと瞠らせた赤子。顔も濡れていないし、目元も赤くない。泣いていたように聞こえたのだが、気のせいだったのだろうか。それとも別の赤子の声だったのだろうか。
辺りを見回すが、泣き声は聞こえなくなっていた。
「お前以外で誰か泣いていたやつでもいたのか?」
「うー?」
声を聞いて、先ほどの声と似ていたことに気づく。泣いていたのはやはりこの赤子のはずなのに、何で泣いた様子がないのだろう。そうして気づいたことが一つ。
「…人、じゃあないな。何だお前、どの妖の仔だ」
「うー。だーぁ」
「まあ、この状態で喋られても気持ち悪いな」
あーうー、と謎の言語を話す赤子が三郎に小さなもみじを伸ばす。
「抱けとでも言っているのか、お前」
「あー」
「……俺は赤子は苦手なんだ。親を探してきてやるからちょ「びぇええええええぇぇぇぇえええぇぇええええぇぇぇえええええええええええっっ!!!!!!!」分かったから泣くな!」
三郎は唐突に泣き出した赤子に折れて、遠い昔の記憶を引っ張り出しながらそうっと赤子を抱きかかえた。
「だー」
「烏天狗かお前。烏天狗は仔を大事にすると聞くが、お前の親はそうではないのか?」
「だ!」
べし! と赤子が三郎を叩く。痛くはないが、痛いと思った。
「すまん。家族を侮辱されるのは嫌だな。じゃあ、このまま置いていた方が…痛っ! そうか分かった嫌なんだな。近くに親が」
轟っ!
と力がぶつかり合う余波が三郎たちを薙いだ。
「……交戦中? ……お前、もしかしなくても拐かされたのか」
「うあー?」
こて、と赤子は首を傾げた。
「……聞いても意味ないか」
さぶろが偽物な感じがしないでもない。
つづくー。
木の上で不貞寝をしていた三郎はぱっと飛び起きて辺りを窺った。齢五百をやっと数えようという狐精は色素の薄い瞳を暗闇で光らせて気配を消しながらゆるりと動き出した。
「白鴉の稚児は手に入れたが…」
「しかしこの稚児の母親は我らが風魔の一族のものであろう? 何故こうこそこそと拐かすような真似をせねばならん」
「リリーさまの命だが…ぬ!?」
「追手じゃ!!」
「稚児はこの木の洞に隠して……」
赤子の泣く声が聞こえた気がして三郎はそちらへと足を向ける。
赤子はあまり好きではない。壊れそうな柔らかい体を抱え上げるのは空恐ろしいものがある。
『そんなに構えなくとも大丈夫だよ三郎。ややはそんな簡単に壊れちゃあしないんだから』
当の昔に失った片割れがにこにこ笑いながら放った言葉が脳裏に蘇る。
そうやって声のする方へと歩を進め、一本の木の前に立つ。
ご丁寧に隠された洞を見つけ、その中に丸い目をきょとと瞠らせた赤子。顔も濡れていないし、目元も赤くない。泣いていたように聞こえたのだが、気のせいだったのだろうか。それとも別の赤子の声だったのだろうか。
辺りを見回すが、泣き声は聞こえなくなっていた。
「お前以外で誰か泣いていたやつでもいたのか?」
「うー?」
声を聞いて、先ほどの声と似ていたことに気づく。泣いていたのはやはりこの赤子のはずなのに、何で泣いた様子がないのだろう。そうして気づいたことが一つ。
「…人、じゃあないな。何だお前、どの妖の仔だ」
「うー。だーぁ」
「まあ、この状態で喋られても気持ち悪いな」
あーうー、と謎の言語を話す赤子が三郎に小さなもみじを伸ばす。
「抱けとでも言っているのか、お前」
「あー」
「……俺は赤子は苦手なんだ。親を探してきてやるからちょ「びぇええええええぇぇぇぇえええぇぇええええぇぇぇえええええええええええっっ!!!!!!!」分かったから泣くな!」
三郎は唐突に泣き出した赤子に折れて、遠い昔の記憶を引っ張り出しながらそうっと赤子を抱きかかえた。
「だー」
「烏天狗かお前。烏天狗は仔を大事にすると聞くが、お前の親はそうではないのか?」
「だ!」
べし! と赤子が三郎を叩く。痛くはないが、痛いと思った。
「すまん。家族を侮辱されるのは嫌だな。じゃあ、このまま置いていた方が…痛っ! そうか分かった嫌なんだな。近くに親が」
轟っ!
と力がぶつかり合う余波が三郎たちを薙いだ。
「……交戦中? ……お前、もしかしなくても拐かされたのか」
「うあー?」
こて、と赤子は首を傾げた。
「……聞いても意味ないか」
≪≫
さぶろが偽物な感じがしないでもない。
つづくー。
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この好きは『好き』でいいのでしょうか?(次浦+綾)
私は彼女が幸せであるよう希う(再録:私が彼を嫌いな理由。&ハッピーエンドをつかみとれ!)(次浦+綾)
海に関するetc.(次浦+綾(タカ綾))
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いお
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女性
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1987/03/19
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五年(特にい組)と三年と綾部が好きな一般人←
最近ハートの国のアリスシリーズにハマったらしいです。
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