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色々ネタ置き場(主にRKRN)。 主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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転生現パロ。
一部にょた。

藤内と綾部。

綾部視点。

この話はとある話(オフ本にしようか迷ってるもの)を軸にしているこぼれ話というか番外というか。
あ。作視点の「その道は果てなく遠く。」や綾部視点「光をつかんだ。それはとても大切なもの。」のとも関連あり。

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 綾部喜八郎→綾部喜八瑠(きはる)♀・・・私立大川学園中等部一年一組。生まれた時から記憶保持者。
 浦風藤内→浦風藤内♀・・・大川市立大川中央小学校六年。たまにデジャヴを感じるけど、記憶は全くなし。


ああ、ここにいたの。
 ずっと探してたの。


 教室から忘れ物を取った私は目の前から来る私服の少女の集団を見て首をかしげた。
 私立大川学園中等部は制服着用で、私服で入って来ることはまずない。

 ……あぁ、そういえば。
 今日は小学生の見学日だ。

 受験を検討する小学生が学園の見学に訪れる日。先生たちに引率され、今はフリータイムなのだろう。去年自分も体験した事柄だった。
 基本的に訪れる小学生は遠方に住んでいる者の方が多い。そう言った者は後で寮の方も見学する。
 私自身、寮住まいであるから同じように寮や食堂を見学した覚えがある。

「中等部は三クラスしかないんだねー」
「高等部は十クラスあるらしいよ~」
「隣のお姉ちゃん、高等部にいるよ。制服超可愛いの」
「中等部のセーラー服も変わってるよね」
「スカーフじゃなくてリボンでしょ」
「そういえば学年カラーが中高通してあるんだよね。六年間同じ色」
「来年入ったら私たち何色かなあ」
「黄緑、って聞いたよ~」
「藤内好きな色じゃん。良かったね~」

 とう、ない…?

 足を止め、近づいてくる少女の集団を見据える。

 いた。

 変わらない、癖のある黒髪。
 スカートを履いているから、女の子。
 私と同じように、性別が変わったんだ。

 藤内。
 藤内藤内藤内。

 私の大切な、藤内。

 ゆっくりと、何事もないように近づく。

 彼女たちも私に気付いたのか目を丸くしている。
 自分の容姿は自覚している。
 十人が十人、振り返る容姿だ。

「こんにちは。見学者の子?」
「は、はい!」
 頬を紅潮させる小学生に私はにこりと愛想笑いを浮かべる。普段から無表情無表情と言われるけれど、愛想笑いとか表情を作ることはできるのだ。
「私は中等部一年の綾部喜八瑠と言います。この階の先はもう生徒会室しかないから、他の所を回った方が良いと思うわ。あなた達はどの辺りを回ったの? 良ければ案内をしましょうか? ちょうど暇なの」
 その申し出に一も二もなく彼女らは頷いた。


 中等部の生徒が必要とする場所は全て教えながら、彼女たちが遠方の人間ではなく、この大川市在住の小学生だということを教えてもらった。何ということだろう。こんなに近くにいたなんて。

 でも、藤内。
 お前は覚えていないんだね。
 私のこと、学園のこと、そして……あいつのこと……。

 集合時間が迫ったらしく、少女たちは「ありがとうございました」と深々とお辞儀をする。良い子たち。

「来年、同じ制服を着れるといいですね」
 はい! と元気な返事が返る。ぱたぱたと少女たちが走るなか、一人だけぽつんと残る。何で?

 藤内。

 じっと私を見つめる深い色の瞳。
 困惑と疑問が綯交ぜになった瞳が私を見据える。

「どうか…しましたか?」
「あの…綾部さんと私、どこかでお会いしたことありましたか?」
「……いいえ?」
「じゃあ、なぜ、私を見るたびにそんな泣きそうな顔をしているんですか?」

 泣きそうな顔?
 私が?
 この愛想笑いは完璧なはずだよ。立花先輩(今女性で今年の生徒会長。記憶はバッチリある)も絶賛するくらいなのに。

「笑ってるんですけど、泣きそうなんです。私、何かしましたか?」
「いいえ。何も。気のせいですよ。ほら、時間に間に合いませんよ」
「……分かりました」
 集合場所である体育館の方へ足を向け、藤内は振り返る。

「私、絶対試験合格します。同じ制服を着ます。だから、泣かないで。綾部先輩」

 私、泣いていないよ、藤内。

 でも、いつも気付いてくれるのは君だったね。
 ほんの少しの表情の変化に目敏く君は気付いてくれる。
 優しい、藤内。

「泣いてませんよ。早く行きなさい」

 ひらり、と私は手を振る。

「ばいばい。藤内」

 踵を返して風紀委員会室へと向かう。だから、彼女のその時の表情を見ることはできなかった。


 思い出して。
 思い出さないで。

 笑っていて。
 泣かないで。

 思い出して、君の笑顔が曇るのを、私は見たくないの。

 思い出して。
 思い出さないで。

 思い出してくれると私は嬉しい。
 思い出すなら楽しいことだけ思い出してくれれば良いと思う。
 嫌なことは思い出さないで。あの事を思い出さないで。

 大好きな藤内。
 私の唯一無二の光。


 春に会えることを私は願うよ。

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1987/03/19
自己紹介:
五年(特にい組)と三年と綾部が好きな一般人←
最近ハートの国のアリスシリーズにハマったらしいです。
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