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色々ネタ置き場(主にRKRN)。 主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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其は天女というが、天女とはそう易々と下界に降りぬモノ。
八話目。

刃衣視点。

…これ、上手くいくんやろうか。

拍手[1回]



逆ハ主:
北條明日香(ほうじょうあすか)
…「平成」から来たという天女と呼ばれる現代人。高校二年生。夢見る思い込みの激しい少女。この世界のヒロインなのだから何やっても良いのだと思っている。常識があるはずなんだけど、ぶっ飛んでる。

傍観主ら。:
*森野刃衣(もりのはごろも)…学園の近くに設けてある鍛冶工場の女鍛冶師。学園専属。九州は筑前の国の出。腕は良い。体育委員のランニングについていけるほどの体力がある。一年は組と仲が良い。

五瀬志帆(いつせしほ)…くノたま四年。不運じゃない保健委員。”狂科学者(マッドサイエンティスト)” の異名を持つ。根は優しいのだが、実験となると目の色を変える。
視力は良いが調合中は眼鏡をつける(目の保護のためと思われる)。伊達眼鏡。

柚月汐琉(ゆづきしおる)…くノたま四年。用具委員。天女と只今同室。実際は志帆と同室。天女の要望で天女の傍にいる。実際超嫌。でも周りが可哀想じゃないとかそんなん言って無理矢理そのまま。保健委員の親友を持つ者特有のプチ不運発動。ポルトガルとハーフな金髪緑眼の美少女。でもその容姿にコンプレックス。

*の人に関してはナルちゃんの所で見てもらうと。。。


 うちの目の前には三寸半の小反の直刃の短刀がある。前々から拵えていた品だ。
 研磨までやるのがうちの流派やけん自分でやったし、鞘と柄も取り敢えずの物と在り合わせの物をつけた。あとで鞘師のおっちゃんだとかに持っていこう。

 チン。

 と軽やかな音を立てて鞘に収まる短刀。

 さてと?

 志帆ちゃんの計画やと、本日、用具委員会が修補に出した苦無や手裏剣などを取りに来る。
 重くて危険やけん、留三郎君に来るように伝えといてね。としんべヱ君には伝えとる。ちょっと女の子一人付いてくるように、とも言っとったけど……うっかり汐琉ちゃん連れてきたらどげんしょーかいな。


 と思っとったけど、それは杞憂に終わった。

 よーかーったー……。
 汐琉ちゃんが来た時点で、この計画はおじゃんやけんね。もう、志帆ちゃんも危ない橋渡るの好きやねえ……。


「いらっしゃい、留三郎君。これが今回の分やけんねえ。あとまだ少しばかりかかりそうったい。……あれ? 見ん顔やねえ、誰な」
 にこにこといつも通りの笑顔を浮かべ(とるハズ!)、うちは留三郎君と天女を迎える。
 天女と言う子は確かに可愛らしい容姿の守ってあげたくなるような子ではあった。でも、顔だけで言うと今実習に出ている五六年のくノたまの子たちや、志帆ちゃんや汐琉ちゃんたちの方が上だと思うんやけど。……守ってオーラに皆やられるんやろか。母性本能、というか庇護欲? でも、何か裏がありそうな気ぃがすんやけど、男はそげん所気ぃつかんもんなあ。兄いたちもそういう女によう引っ掛かりよったばってんさー。そげんかもんかねえ。

「ああ、刃衣さんは初見でしたね。こちらは北條明日香さん。空から舞い降りた天女で、心優しいお嬢さんですよ」
「と、留君ったら! そんな当然のコト言わないで! 恥ずかしいじゃない!!」
 ばしばしと天女は留三郎君の背中を勢い良く叩く。

 ? あれ?
 今何や、言葉が変な気ぃしたぞ?
 気のせいかいな。

「で。刃衣さん。女の子を連れて来いと仰ったらしいですが……」
「あ、そう。そうなんよ。ちょっと懐剣みたいなもんを作ったンよね。で、うちが持っても具合がよう分らんけんさ、腕力のあまりない女の子に持ってもらってどんなもんか見ようと思って」
 ああ、と留三郎君は納得した様子を見せた。
「重さや長さ、握りの具合をお知りになりたいわけですね」
「そうなんよ。大分刃も薄くして重量も軽くはしとるんよね。そう何度も使えるような代物にはならんばってん、持ってみて軽すぎるようだったら比重もまた変えて…てね。あとは強度をどれだけ保てるかが課題っちゃ課題なんやけどね。まずは、持ってみた感想を聞きたいわけよ。切れ味は抜群よ」
 すちゃ、とうちは大根を用意し、鞘から抜き払った小刀でそれを斬る。
 すぱんと大根は切れて根の部分が落ちる。おお、と声が上がるがまだまだ。うちは落ちた部分を拾って切り口を合わせる。吸いつくように切り口が合わさり、どこが切れていたのかが分からんくらいの密着感。根を下にしても落ちる事はない。歓声が上がる。

「どんなもんよ? でも結構軽いんよー。留三郎君持ってみて」
 留三郎君に小刀を渡すと、心もとないような表情を見せる。
「……軽すぎやしませんか?」
「やっぱり? でもうちら基準やないけんさ、イマイチ程度が分からんったい。てわけで、えーと、北條さん。持ってみてくれる?」
 留三郎君から天女に小刀が渡る。恐る恐るといった風に小刀を受け取る天女。
「……えと、刀、って結構重いんじゃないんですか?」
「うん。重いよ。どう?」
「あの、私は丁度良いと思いますよ。でも、くノたまの子たちはわたしより全然鍛えているみたいだから、軽いかも」
「そうか。振り回せそう?」
「ええ」
 ヒュン、と小刀を一閃させる。おい。周りに人がおるっちゃけんちったあ離れてから振り回しないや。危なかろうが。

「じゃあ、もうちょっと比重を変えて、強度を上げようか。ありがとうね」
「いいえ。お役に立てたのなら」

 にこにこと天女は答える。

「あの、この中見て回っても良いですか?」
「よかよ。ばってん、危なかとが多かけん、物には触らんといてね」
 小刀を受け取り、留三郎君からは死角、そして天女が確実に物珍しげに見そうな場所へと置いておく。そこでしばらくじっとしているのを見れば、そのあと小刀が無くなっても、彼女が持っていったことになるだろう、という希望的観測の結構穴だらけな計画。
 小型の全長は鞘を合わせて七寸ほど。懐や袂に入れても目立たないように作ってはおるけども……。

 まあ、最終的には、小刀は志帆ちゃんの手に渡り、天女の荷物の中から見つかる、という筋書き……。

 さあ。
 次の日にもう一度留三郎君に来てもらい、小刀が無くなった話をする。自分がどこに置いたか分からなくなったかも知れん、もう一度探してみる、という風に話し…あとは志帆ちゃんがうまくやるやろ。ちなみに今夜中に志帆ちゃんが訪れるのでその際に小刀を渡す予定である。

 ……うーん…不安。
 結構くノたまも協力者が増えている、っては聞いとるんやけどねえ。

 


仕込み入りましたー。

 

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