其は天女というが、天女とはそう易々と下界に降りぬモノ。

五話目。

明菜視点。
信じて。天女というあの子は危険なんだ。
お願い。信じて…。


其天降、最近こんくらいの時間にうｐ多いな。

[1回]

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逆ハ主：
北條明日香…「平成」から来たという天女と呼ばれる現代人。高校二年生。夢見る思い込みの激しい少女。この世界のヒロインなのだから何やっても良いのだと思っている。常識があるはずなんだけど、ぶっ飛んでる。

傍観主ら。：
*川瀬明菜（かわせあきな）…五年は組。体は女だが心は男。物心ついた時から自分は男だと思っている。なので入学の際、学園長に頼み込み忍たまに。実家が薬師を生業としていて、勝手の分かりやすい保健委員に。三郎たちや五のはの生徒たちやくノたま上級生、委員会の生徒は理解してくれているのでそれなりに生活できる。

五瀬志帆（いつせしほ）…くノたま四年。不運じゃない保健委員。”狂科学者（マッドサイエンティスト）”　の異名を持つ。根は優しいのだが、実験となると目の色を変える。
視力は良いが調合中は眼鏡をつける（目の保護のためと思われる）。伊達眼鏡

柚月汐琉（ゆづきしおる）…くノたま四年。用具委員。天女と只今同室。実際は志帆と同室。天女の要望で天女の傍にいる。実際超嫌。でも周りが可哀想じゃないとかそんなん言って無理矢理そのまま。保健委員の親友を持つ者特有のプチ不運発動。ポルトガルとハーフな金髪緑眼の美少女。でもその容姿にコンプレックス。

小雪（こゆき）・香波（かなみ）…くノたま五年くノ一組。明菜の友人。只今校外実習中で不在。詳しくは後程。

*の人に関してはナルちゃんの所で見てもらうと。。。

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お願い信じて。
私を信じて。

　兵助、雷蔵、三郎、八左ヱ門……。

 

　天女が現れた、という騒ぎを聞いて私たちは面白そうだ、と天女が現れたというグラウンドへと走る。

　天女は綺麗で可愛らしい子だった。
　白い肌に長い睫毛、柔らかそうな亜麻色の髪。
　守ってあげたくなるような不思議な雰囲気の女の子。

　皆警戒していた。
　私も、兵助も、雷蔵も、三郎も、八左ヱ門も。
　
　全てを疑っていくのが私たち忍。
　忍の世界は全てまさかまさかの世界。
　どこにどんな罠が仕掛けられているのか分からないから、私たちは何事も裏を読みながら動いていく。

　でもすぐに天女が敵かどうかという疑いは晴れる。

　筋肉の付き方、足の運び方も忍やくノ一にはありえない程緊張感がなく、私たちが言うことを素直に信じる。
　突拍子のないことを言っていたが（“平成”という時代から来ただとか、神様がどうのとか）、学園長先生が学園に部屋を用意する、と言った時点で全ての忍たまくノたまは疑うことを放棄したのだろう。
　次第に彼女の周りに人が集まるようになった。

　勿論、集まらない者もいる。

　何故か、忍たまの一年生と二年生は彼女に近寄ることはなかった。

　不思議に思ったのは、学園のトラブルの九割近くを占める一年は組が自分から一切彼女に近づかなかったことだ。
　周りは誰もそれを不思議と思っていないようだった。

　嫌な予感が私を襲う。

　確かに天女と呼ばれる北條明日香さんは確かに可愛らしい外見と素直で優しい心を持っているようだ。顔は私好みだし。

　でも、変なのだ。
　駄目なのだ。
　近寄ってはいけない、と警告音が響く。

　あの天女はこの優しい箱庭を壊してしまう気がして仕方がないのだ。

　私は訴えた。友人たちに。

「ねえ、雷蔵。あの、天女だという明日香さん、何か変なのだけど」
「変？　確かに変わってるよね、彼女。天女だから仕方がないよ」

　あはは、と雷蔵は笑った。そういう意味じゃないんだ、雷蔵。私は困ったように笑う。

「兵助。あの子に近寄ってはいけないと思うんだ。危険な気がする」
「危険？　何を言っているんだ、明菜。明日香さんはとてもいい人だぞ。どこをどう見て危険だと言うんだ」

　兵助は器用に片眉を上げ、不審そうに私を見た。確かに、いい人のように見えるけれど、でも変なんだ。引っ掛かるんだ。何で信じてくれないんだ？　私が変なのだろうか。
　…私は少しずつ笑みを失くす。

「…っ、八左ヱ門！　あの子を好きになっちゃ駄目だよ！　あの子はこの箱庭を壊してしま」
「…明菜。俺たちが明日香さんをいつも構っているからと、根拠のない誹謗中傷を言うなよな！　変だと、危険だというのならお前の方がよっぽど変で危険だぜ」

　ぎゅ、と私は唇を噛んだ。
　私が変なの？　危険なの？　
　八左ヱ門は怒ったように私から離れていく。

「……三郎。君も皆と同じことを言うのだろうけれど、でも私は言う。あの子は危険。私たちに害をなす存在だ。極端だけど、殺すか、もしくはここではない遠い所に連れていくのが無難だ」
「明菜……。いい加減にしろ。彼女のどこが気に入らない。料理もうまい、学園の雑務の手伝いをしているし、気配りがちゃんと出来ている。ああいう女性はそうそういないだろう。……心は男だと言いながらも、明菜はその体が示す通り、結局は女なのだな。嫉妬する醜いただの女だよお前は」

　……………嫉妬？　これは嫉妬なのか？
　違う…確かに、君たちが彼女に構っているのを見ると悲しい。
　でも、危険だと思うのは本当なんだ。勘としか言いようがないけれど、危険なんだ彼女は。私は君たちに傷ついてほしくないだけなのに。

　三郎は冷たい目で私を一瞥して、そのまま振り返らずに私の前から姿を消した。
　私はその場に立ち尽くしたまま。

　ただの女。
　男だと自負している私にとって、その言葉は心を抉る。でも、それ以上に彼らの視線が辛かった。

　それから、彼らは一切私と目も合わそうともしないし、話しかけもしない。私はいつも五人でいたのに一人ぼっち。今学園にいない勘右衛門や小雪、香波もきっと戻ってきて天女を見ると彼女に心奪われるのだろうな。
　だって、あの四人は天女に心酔しきっているのだから。

　ねえ。
　私が悪いの？

　天女を危険だと認識する私が変なの？

　ねえ。
　私はどうすればいい？
　皆と同じように天女に心酔できない、異分子である私は一体どうすればいいというんだ。

　……私が悪いの……？

 

 

 

「いいえ。悪くないですよ。先輩の考えは正常です」

　医務室で薬を煎じる一つ年下の後輩は淡々と答える。くノ一教室四年くノ一組（と言っても、くノ一組も礼儀作法組も便宜上であってくノたまは学年に付き一組だけだ）に在籍する五瀬志帆は伊達眼鏡の奥の瞳を静かに光らせた。

「周りが異常なのです。あの女狐に先輩方や同輩、後輩たちは狂っているのです。あれは天女と言う皮を被ったただの女」
　くすり、と淡い桜色の唇を三日月のように描く。
　可愛らしい容姿の危険物である後輩は優しい笑みを浮かべた。

「ねえ明菜先輩。分からせてあげましょう」
「そうしたら、皆はまた私に笑って話しかけてくれるかな。志帆」
　私の問いかけに自信を持って彼女をは答える。
「勿論です。先輩」
　にこにこと志帆は笑う。
「元に戻るんですもの。天女が来る前の、私たちの大事な学園に。先輩も笑って、私も汐ちゃんも笑顔です。天女から解き放たれるのですから」
　ああ、そういえば、今彼女の同室で親友の礼儀作法組の柚月汐琉は天女の傍に無理矢理留め置かれているのだ。天女が「汐琉ちゃんと一緒のお部屋が良いな」と言ったばかりに。柚月は常に天女の傍。何もかも、天女と一緒。唯一離れられるのは、授業の時だけ。

　するりと志帆の白い繊手が私の頬に伸びる。

「さあ。天女を堕としてしまいましょう……明菜先輩」

　私はその甘美な囁きに乗ることにした。

　大事な居場所を再び奪り返すために。
　
 

≪　≫

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明菜視点。
こんな感じだったので医務室に引きこもり。

この後刃衣を引き入れる。

悪魔の囁きを習得している志帆（笑）

そうして事態は進んでいく。