[1回]

　人数の都合で一人部屋をもらい、寮の新入生名簿（男子）を見る。俺は少しがっかりした。
　同じ学年に、知った名前は勿論ある。“元”ろ組だった奴らとか。

　でも、一緒にいたかった奴らがいない。
　あれから先のことが聞きたかった。
　あの任務は一体どうなったのか。とか、お前たちは一体どんな時を過ごしたのだとか。

　享年十五歳だった俺が描けなかった未来はどんな未来だったのか、と。

「作ー、さもー、孫ー、数ー、とー…ない」

　とーない。
　藤内。

　作兵衛にも左門にも孫兵にも数馬にも勿論会いたい。

　会いたいけど。

　でも、一番会いたいのは。

「藤内。どこにいるんだよ…」

　会ってお前を抱きしめたい。
　触れて触れられてその体温を確かめたい。

　もう絶対に離さないから。
　泣かせないから。

「神様。藤内に会わせてくれよ」

―――私立大川学園中等部入学式まであと一日。