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色々ネタ置き場(主にRKRN)。 主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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 季節は梅雨。
 藤内が一番嫌いな季節。

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ハッピーエンドをつかみとれ!完売
次浦+綾。(転生・一部にょた)
今回は藤内メインで。でも喜八瑠ちゃん出張るっていう。
藤内が思い出す話。
40P 400円。




++サンプル1

「おはよう藤内」

 三反田数がいつものように挨拶をすると、いやに顔色の悪い藤内が返事をする。

「ちょ、藤内大丈夫!?」
「……夢見が悪かっただけ…この天気だし……」
 眉間に人差し指を押し当てて藤内は唸る。
「藤内、雨苦手だもんね…でも今までそんな酷くはなかったんじゃない?」
「て言うか、嫌い。でも今朝は酷いかも…気持ち悪くなるし。頭痛いし……胃が空っぽなのに吐きそう…」
「本当に大丈夫なの? それ。いつもなら怠いか軽い頭痛くらいだけど…。その様子じゃまともに授業を受けれそうにもないし……家に連絡してもらった方がイイかも」
「……そう…だね。全然予習もできてないし……後でノート貸してくれる?」
「お安い御用! ほらほら。HR始まっちゃう前に保健室行って先生に連絡してもらお!!」

 数が腕を引いて藤内を立たせると「あれ、浦風大丈夫ー?」「雨だもんね。平気?」とこの二年と数ヶ月同じクラスメイト達が口々に労わりの言葉を投げかける。普段から雨が降っている日は辛そうな状態で、梅雨となると連日の疲れからか目の下に隈を作るほどの憔悴ぶり。晴れが続けば体調も普段通りに回復するという、雨に滅法弱い体質となっている藤内は三組の面々から雨のたびに心配される。

「……うん、今日はもう早退しとく…」

 三反田の不運に巻き込まれないようになー! と激励をもらい、数が「失礼な!」と憤慨していたが一緒にいることが多い藤内が巻き込まれ易いのは本当のことなので、藤内も周りも苦笑するしかない。

 廊下に出る所でぼすんと誰かにぶつかる。前方不注意過ぎるのもいつもより酷い体調だからだろうか…藤内はそう考えつつ謝罪の言葉を口にしようとぶつかった人間を見ようとしたら、上から能天気な声。それだけですべてを悟った。

「あれ? 何で藤内がいるんだ?」
「ここは三組。あんたのクラスは隣の二組でしょうが、三之助」

 ぶつかった顔を押さえて藤内が言うと同時に「ここ、二組じゃねーの?」とのんきに次屋三之助は嘯いた。違う、と即座に否定して藤内は首を傾げた。先ほどまでガンガン頭中を駆け巡っていた痛みがきれいさっぱり消えている。驚いて窓の外を見るが、ざあざあと雨は景気良く地上に降り注いでいる。

「藤内、顔色、戻ってる」

 ポカンとした様子の数の言葉。クラスメイト達もさっきまで辛そうにしていた藤内がケロリとした様子で振り返ったのに驚きを隠せない。

「……そうみたいだね…。保健室行かなくて平気みたい」
 そう答えて藤内は窓際の自分の席へ戻る。三之助も踵を返して自分の教室とは反対方向に向かいかけ、数がそれを抑えた。そうして藤内は席に着くと同時に再び頭痛とさらに吐き気を催す。

「――――――っ!?」

 信号のようにパッと蒼白に顔色が変わった藤内にクラスメイト達が騒めいて数を呼ぶ。数が三之助を引っ張ったまま「藤内!」と傍によると頭痛と吐き気も治まった。顔色もまた通常通り。

「「……どういうこと…?」」


++サンプル2

「――――――と、言うわけで。毎度のことながらの学園長の思いつきによる傍迷惑な企画よ」
 中等部一年生は知らない子も多いでしょうけれど、と風紀委員会委員長の高等部三年一組・立花仙子はロの字にしてある長机の上座に顧問で中等部一年二組担任の斜堂陰麿と共に座って緊急招集の内容を告げる。切れ長の黒目がちな瞳は明らかに面倒の二文字しか書かれていない。

「はーい。質問です」
 下座の方の中等部の生徒が手を上げる。前髪をカラフルなヘアピンで留めまくった少年だ。
「何? 兵太夫」
 仙子が促すとパイプ椅子を引いて中等部一年三組の笹山兵太夫は口を開く。
「劇の演目って決まってるんですか? もしかしてそこから決めるとか?」
 演目を決めるのは意外と骨だ。周りから嫌そうな声が漏れ、面倒くさいとそれぞれの顔に文字がでかでかと書かれていく。そんな中、喜八瑠は両肘をついて頬杖をつきながら、ぽつんと空いた空席をぼーっと見つめていた。中等部三年三組の席は空席のままだ。

「演目は決まってるわ。さっきの委員長呼び出しはその告知と、演目決めのクジの為。うちの学園は演劇部の台本が図書館の一角を占めてしまうくらいに大量だから、棚番とか、何段目だとか、何冊目、とかそんな番号が入ったクジを引いたのよ」
「じゃあ演目は?」
 兵太夫が重ねて問うと、仙子は机の上の一冊の綴じ本を掲げた。
「〝藤の鬼〟というタイトルで…全員集まるまでぱらぱらと読んでみたけど、どうやら許嫁を殺された男が鬼になり、その許嫁の兄が男を見つけ出して殺す話、かしら。結構暗いわよ」
「結構暗い、どころかとてつもなく重そうな話ですね」
 高等部二年一組から声が上がる。ふわふわとした黒髪を揺らして少年は「泥沼っぽい」と呟いた。
「泥沼…まあ、泥沼になるのかしら? で、今回の緊急委員会では劇の配役を決めるのと、大道具小道具音響語り、とか諸々の事を決めるわよ」
「あ、はい! 立花先輩」
 中等部一年一組から少女の声と共に手が上がる。
「はい、奈々」
 黒門奈々は立ち上がると仙子に問う。
「他の委員会の演目内容も気になるので聞きたいんですけどっ」
「えぇと、ちょっと待って。会計が〝花見坂の仕立屋〟、環境が〝二人の歌姫〟、体育が無難に〝美女と野獣〟、保健が〝赤い星屑〟、用具がこれまた無難に〝三匹の子ブタ〟、生物が〝ココロ〟、図書が〝鉢かつぎ姫〟こちらもまあ無難ね」
「あれ? 生徒会執行部は…」
「進行役。及び他委員会の補助ね。音響照明とか手伝ってくれるわ。他に質問が無ければ、今から台本のコピーを配るから内容を読んで配役を決めましょう。自薦他薦は問わないから」
 左上だけをホッチキスで留めた台本が席の末尾まで配られる。しばらくは紙を捲る音と外の雨音だけが風紀委員会室の中を支配する。

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