色々ネタ置き場(主にRKRN)。
主に二次創作・夢小説系。ごく稀にオリジナルもあるかもしれない。。。
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「あつい……」
Tシャツに短パン、素足といかにも夏!という格好の喜八瑠は暑さにへたばっていた。
季節は茹だるような暑さを振り撒く夏。
大川学園に入って二度目の夏。
寮のクーラーが壊れるというアクシデントの為、全寮は窓もドアも全開だ。扇風機も全力で回っているが、蒸し蒸しした生暖かい風が吹き付けるだけ。
「暑いなら、髪をあげたら良いだろう?」
ルームメイトの滝姫がアイスを放ってそう言った。
喜八瑠はふわふわとした長い髪を背に流したまま、うんうんと暑さに唸っている。
「やだ。私、ポニーテールには絶対しないって決めたもん」
ぱしっ、とアイスを受け取り、喜八瑠は封を切る。
「ポニーテールでなくてもお団子とかツインテールだとか色々あるだろう。……そう言えば今年に入って全くポニーテールにしてないな」
去年は一番簡単だからとしょっちゅうしていたのに。
滝姫が言うと、喜八瑠はアイスをくわえてそっぽを向く。
「別に話したくないなら話さなくて良いんだからな」
「……滝姫は…」
アイスをくわえたままの不明瞭な発音で喜八瑠は問い掛ける。
「滝姫は、七松先輩に思い出して欲しくないことってある?」
「七松先輩に?そりゃあごまんとあるけども、」
「けれどそれは思い出してもらっても構わない類いだよね」
アイスから口を離して重ねるように問うと、滝姫は頷いた。
「まあ、そうだな」
「僕はさ」
喜八瑠の一人称の変化に滝姫はピクリと器用に片眉を上げた。
―――時折彼女は、喜八瑠から喜八郎に還る。本人は無意識で代わっているようなので、全く気付いていない。自然と違和感なく切り替わるせいか、周りも気付いていないのだ。今いる中では気付いているのは滝姫くらいであろう。それが、二重人格に分類されるものかどうかは、滝姫は専門家ではないから分からない。
「僕はさ、藤内に絶対思い出して欲しくないことがあるんだ。それはとても哀しいことで酷いこと。思い出したら絶対に後悔すること」
だから僕は髪をひとつに結い上げないし、黒い装束も絶対に着ない。
そう言えば黒い服も一切着なくなったな、と滝姫は思い、喜八郎に問う。
「それで?綾部喜八郎。その目論見は成功しそうか?」
喜八郎はニヤリと唇を歪めた。ピン、と張りつめた喜八郎の姿に懐かしさを彼女は覚える。
そう、昔は自分もこんな感じだったろう。
「この状態を維持できたらね」
ふ、と喜八郎は視線を外に向ける。
「でも、少しずつ藤内は思い出すだろう。僕が思い出して欲しくないアレもいつかは思い出す…。キッカケは僕かもしれないしアイツかもしれない」
アイツ、という単語に滝姫は後輩を当てはめた。
……あれも関わっているのか…。頭が痛い、と滝姫はこめかみを指で押さえる。
「…もし、アイツが原因で思い出すのなら…、殺すことも厭わない」
でもそれは繰返しになるからやらないけど。
困ったように、残念そうに、喜八郎は苦笑した。
……繰返し…。滝姫はそれを小さく呟いた。
その呟きを聞き留めた喜八郎が、唇を動かした。
「さても歴史は繰り返すとは言うけれど…現在は僕たちが…喜八瑠たちが作り上げるもの。彼女がどう動くかは、僕にも解らない」
だって、僕と喜八瑠は同じだけど違うから。
Tシャツに短パン、素足といかにも夏!という格好の喜八瑠は暑さにへたばっていた。
季節は茹だるような暑さを振り撒く夏。
大川学園に入って二度目の夏。
寮のクーラーが壊れるというアクシデントの為、全寮は窓もドアも全開だ。扇風機も全力で回っているが、蒸し蒸しした生暖かい風が吹き付けるだけ。
「暑いなら、髪をあげたら良いだろう?」
ルームメイトの滝姫がアイスを放ってそう言った。
喜八瑠はふわふわとした長い髪を背に流したまま、うんうんと暑さに唸っている。
「やだ。私、ポニーテールには絶対しないって決めたもん」
ぱしっ、とアイスを受け取り、喜八瑠は封を切る。
「ポニーテールでなくてもお団子とかツインテールだとか色々あるだろう。……そう言えば今年に入って全くポニーテールにしてないな」
去年は一番簡単だからとしょっちゅうしていたのに。
滝姫が言うと、喜八瑠はアイスをくわえてそっぽを向く。
「別に話したくないなら話さなくて良いんだからな」
「……滝姫は…」
アイスをくわえたままの不明瞭な発音で喜八瑠は問い掛ける。
「滝姫は、七松先輩に思い出して欲しくないことってある?」
「七松先輩に?そりゃあごまんとあるけども、」
「けれどそれは思い出してもらっても構わない類いだよね」
アイスから口を離して重ねるように問うと、滝姫は頷いた。
「まあ、そうだな」
「僕はさ」
喜八瑠の一人称の変化に滝姫はピクリと器用に片眉を上げた。
―――時折彼女は、喜八瑠から喜八郎に還る。本人は無意識で代わっているようなので、全く気付いていない。自然と違和感なく切り替わるせいか、周りも気付いていないのだ。今いる中では気付いているのは滝姫くらいであろう。それが、二重人格に分類されるものかどうかは、滝姫は専門家ではないから分からない。
「僕はさ、藤内に絶対思い出して欲しくないことがあるんだ。それはとても哀しいことで酷いこと。思い出したら絶対に後悔すること」
だから僕は髪をひとつに結い上げないし、黒い装束も絶対に着ない。
そう言えば黒い服も一切着なくなったな、と滝姫は思い、喜八郎に問う。
「それで?綾部喜八郎。その目論見は成功しそうか?」
喜八郎はニヤリと唇を歪めた。ピン、と張りつめた喜八郎の姿に懐かしさを彼女は覚える。
そう、昔は自分もこんな感じだったろう。
「この状態を維持できたらね」
ふ、と喜八郎は視線を外に向ける。
「でも、少しずつ藤内は思い出すだろう。僕が思い出して欲しくないアレもいつかは思い出す…。キッカケは僕かもしれないしアイツかもしれない」
アイツ、という単語に滝姫は後輩を当てはめた。
……あれも関わっているのか…。頭が痛い、と滝姫はこめかみを指で押さえる。
「…もし、アイツが原因で思い出すのなら…、殺すことも厭わない」
でもそれは繰返しになるからやらないけど。
困ったように、残念そうに、喜八郎は苦笑した。
……繰返し…。滝姫はそれを小さく呟いた。
その呟きを聞き留めた喜八郎が、唇を動かした。
「さても歴史は繰り返すとは言うけれど…現在は僕たちが…喜八瑠たちが作り上げるもの。彼女がどう動くかは、僕にも解らない」
だって、僕と喜八瑠は同じだけど違うから。
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かんたんなはなし(タカ綾)
この好きは『好き』でいいのでしょうか?(次浦+綾)
私は彼女が幸せであるよう希う(再録:私が彼を嫌いな理由。&ハッピーエンドをつかみとれ!)(次浦+綾)
海に関するetc.(次浦+綾(タカ綾))
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いお
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性別:
女性
誕生日:
1987/03/19
自己紹介:
五年(特にい組)と三年と綾部が好きな一般人←
最近ハートの国のアリスシリーズにハマったらしいです。
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