其は天女というが、天女とはそう易々と下界に降りぬモノ。
時間軸は大体二話目の直後から七話目あたりまでと。

汐琉視点。

え、ちょ、待って？
一体どういうことなの。
何？！　拒否権なしですか！？

[1回]

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北條明日香（ほうじょうあすか）…「平成」から来たという天女と呼ばれる現代人。高校二年生。夢見る思い込みの激しい少女。この世界のヒロインなのだから何やっても良いのだと思っている。常識があるはずなんだけど、ぶっ飛んでる。

傍観主ら。：
柚月汐琉（ゆづきしおる）…くノたま四年。用具委員。天女と只今同室。実際は志帆と同室。天女の要望で天女の傍にいる。実際超嫌。でも周りが可哀想じゃないとかそんなん言って無理矢理そのまま。保健委員の親友を持つ者特有のプチ不運発動。ポルトガルとハーフな金髪緑眼の美少女。でもその容姿にコンプレックス。

五瀬志帆（いつせしほ）…くノたま四年。不運じゃない保健委員。”狂科学者（マッドサイエンティスト）”　の異名を持つ。根は優しいのだが、実験となると目の色を変える。
視力は良いが調合中は眼鏡をつける（目の保護のためと思われる）。伊達眼鏡

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「今日から汐琉ちゃんは明日香さんと同じ部屋で寝起きして頂戴ね」

　山本シナ先生にそう言われた時、それは天地がひっくり返ったも同然だった。
　私が、天女と同室？　一体何の冗談だ。

　問うと、シナ先生は困ったように笑う。

　曰く、天女が私と同室が良いと言い、それを聞いた先輩方が私と志帆の部屋に無断で入り、私の私物と思しきものを勝手に天女の部屋へと移したらしい。余計な世話過ぎる。
　仕方ないから本人に直接断り、私物を持って部屋に戻ろう。

　が。

「わぁ～！　汐琉ちゃんと本当に同じお部屋になるんだねえ～！！　私すごい嬉しい！！　ありがとう皆！！」

　先輩方ぞろぞろ引き連れてくノ一教室に来やがった天女。

　ちょ、先輩方。
　目が本当に怖いんですけど。
　視線で人が殺せたら殺せますね。
　断ったらどうなるか分かってんな、的な目しないでください。何これ牽制ですか。断らないように牽制ですか。セコいですよ先輩方。

　あ、ちょ、留先輩目を逸らさないでください。可愛い後輩が必死に眼差しで訴えてるのに。
　え、ちょ、善法寺先輩？　そのさりげなく手に持ってる薬包何ですかね？
　ちょ、ちょっと、中在家先輩笑って縄標回さないでください。
　あ、待って。七松先輩アタック体制とらないで。
　た、立花先輩…？　ここで焙烙火矢は拙いでしょう。懐になおしてください。
　すみません潮江先輩。一回汗を流してきてもらえませんか？　
　……鉢屋先輩。めちゃくちゃ面白がってますね。そうですね？　相変わらず人が嫌がること好きだな。
　竹谷先輩。その手に持ってる壷何ですか？
　不破先輩。その笑顔が怖いです。雷蔵様降臨ですか？　ピンヒ、用意した方が良いですか？　あ、ごめんなさいごめんなさい。威圧感がすごいです。
　ん？　ちょ、久々知先輩。豆腐は大切に！　投げる体制とらないでくださいもったいない！！　豆腐小僧の名が泣きますよ！

　……で？
　滝三木喜八郎タカ丸。
　一斉に目を逸らすんじゃないわよ。
　何でまたこうなってるの。止めなさいよ。止めさせなさいよ。
　……言ってももう意味ないわね。
　受諾する以外道がないってことなのね。そう。

　一斉に頷くなよお前ら。

　ああもう。志帆に何て言おう。

 

　そうして私は天女に捕らわれることになったのだ。
　しかも、志帆と話せるのは授業の合間だけ、という。

　


　そのおかげかどうか。
　くノたまの四年はアンチ天女派。下級生の大半も徐々にアンチ天女派に転がっていくことになった。

　先輩方。滝三木喜八郎タカ丸以下四年三年。
　失策でしたね。

　ほら、そこかしこで動き始めてる。
　悲鳴が上がる。
　だけどくノたまは皆黙認するの。そうされて当然だから。
　立場上、私は驚いたように駆けよるの。そうして皆がどうしたの、って集まってくる。どうしたのかを知っているけど素知らぬ顔で。
　

　くノたまを怒らせるのが、この学園で学園長の思いつき、おばちゃんの雷、先生方の本気なみに恐ろしいことを再度その身に叩き込ませてもらいます。



 

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こんな感じで天女と同室になった汐琉。

お怨み申し上げます先輩方。および同級生。