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逆ハ主:
北條明日香…「平成」から来たという天女と呼ばれる現代人。高校二年生。夢見る思い込みの激しい少女。この世界のヒロインなのだから何やっても良いのだと思っている。常識があるはずなんだけど、ぶっ飛んでる。
傍観主ら。:
五瀬志帆…くノたま四年。不運じゃない保健委員。”狂科学者(マッドサイエンティスト)” の異名を持つ。根は優しいのだが、実験となると目の色を変える。
視力は良いが調合中は眼鏡をつける(目の保護のためと思われる)。伊達眼鏡。
*川瀬明菜(かわせあきな)…五年は組。体は女だが心は男。物心ついた時から自分は男だと思っている。なので入学の際、学園長に頼み込み忍たまに。実家が薬師を生業としていて、勝手の分かりやすい保健委員に。三郎たちや五のはの生徒たちは理解してくれているのでそれなりに生活できる。
*森野刃衣(もりのはごろも)…学園の近くに設けてある鍛冶工場の女鍛冶師。学園専属。九州は筑前の国の出。腕は良い。体育委員のランニングについていけるほどの体力がある。一年は組と仲が良い。
*の二人に関してはナルちゃんの所で見てもらうと。。。
兎にも角にも、刃衣は現状に頭を抱えるしかなかった。
入門表にサインをし、刃衣はしんべヱと別れ医務室に向かった。学園内の妙に浮足立った空気に眉を顰めながらも、目的地へと歩を進める。
「志帆ちゃん、おるー?」
「何でしょう。刃衣さん」
瞬間、ぅげ。と刃衣がうめき声を上げたのもしょうがない。
伊達眼鏡の奥の瞳は据わり、ビシバシと至るところへと殺気が向けられ、左近は深々と溜息、伏木蔵はスリル~と言いながらさらし木綿を片付け、乱太郎はビクビクしながら奥で何やらごそごそとしている。刃衣は来た時期を間違えたかなあ、と後悔した。しかし、後悔は先に立つことは絶対にないのが世の理である。
「や、火傷の薬を…貰いに来たんやけども……出直した方が、良さそうやね。うん、うち出直すけん、この件が終わったくらいに」
「まあ。まあまあまあまあまあ。刃衣さん。そんな御遠慮なさらずに、どうぞいらしてくださいな」
「いやでも志帆ちゃん、虫の居所悪……ィェ失言です」
ギョン、と睨まれ刃衣はビクビクと用意された円座に腰を下ろす。
「刃衣さん。お茶どうぞ」
出された湯呑みに刃衣は口元をほころばせる。
「ありがとう、左近君。」
「いいえ。まともな人が来てくださったので。近頃の上級生たちは浮足立っててしょうもないことで争いばかり。まともに話ができる人間が来たのは久しぶりです」
……まともに話ができる、って一体どうなってんじゃろか。知りたいような、知りたくないような、そんな心持の刃衣。伏木蔵が煎餅の入った菓子鉢を持ってきて、にやぁ、と笑う。
「天女がいつも変な話を置いて行くんですよ~」
“天女”という単語に過剰に反応する志帆。そうして、もう一人。
「夢物語でしかない話。僕らの存在が否定される話。この世界の出来事すべてを否定する夢物語。その話に踊らされる先輩たち……くすくす…それで忍をやっていけるのかなあ? 天女は天女ではなく仏陀に甘言を囁くマーラではないのかなあ……?」
「駄目だよ伏ちゃん。他の先輩に聞かれたらタダじゃ済まないよ」
乱太郎が言うと、「それはそれでスリルだよね」と伏木蔵は笑う。
「天女のお陰で委員会が回らないのも事実だ。最上級生である善法寺伊作先輩も腑抜けにされてる始末。今日はなんだったっけ。ああ、天女と買い物だ」
左近は落し紙を取り上げ伏木蔵と乱太郎を呼ぶ。今から落し紙の補充に回るらしい。
「では、刃衣さん。志帆先輩と明菜先輩の相手を頼みます」
「「いってきまーす」」
いそいそと下級生三人は落し紙を抱えて医務室を出る。
「え!? ちょ、ま、」
ピシャン、と目の前で閉まる戸。
「……で、明菜君、おるん?」
「明菜先輩ですか。はい、いらっしゃいますよ。そちらで引き籠っておられます」
奥を示され、先程乱太郎が何やらごそごそしていたのは明菜に何かを伝えていたのだろう。
「鉢屋先輩たちに手酷くやられたようで…」
「三郎君たちが? 明菜君、ちょぉよか?」
不穏な空気を感じ取ったのか衝立で仕切られた奥をのぞく。仕切られた先には盛り上がった布団。
「…刃衣さんも天女の味方ですか?」
くぐもった声が問いかける。少年にしてはやや高めの声。女にしては低めと言う中性的な声音だ。
「その天女が彼女持ちまで誑かしとーって聞いたけんちょい様子見に来ただけたい。ただの野次馬やけん」
ぴょ、と布団から頭だけが出てくる。見た目だけ見ればカメだ。
声と同じ中性的な顔立ちの川瀬明菜は沈んだ色の瞳を刃衣に向けた。
「野次馬…ですか。志帆、君が呼んだの」
「いいえ。本気で野次馬です。でも協力を仰ごうと思っていたので来て頂けて幸いですよ。明菜先輩」
志帆の言葉に明菜は静かに頷く。浮かべた笑みはどこまでも暗い。
「そう。味方が多い方が良いからね。どれだけ集まったのだっけ」
布団を払い、明菜は衝立を越えて円座に座る。華奢な体を包むのは紺色の制服。五年は組川瀬明菜は体は女、心は男と言う性同一性障害を持つ生徒だ。物心ついた時には既に自分は男だと思っていて、男に本来あるべきモノも大きくなったら生えてくるものだと思っていた。実際はそうではなかったのだが。女にあるはずの物が膨らんできたり、女にしか来ないはずの物が来た時にはかなりショックだったらしい。
「意外にも反感を持った者は多いので、さして手間は取りませんでした」
くすくすと志帆は笑う。
「私のような者もいるだろうし、君みたいな者もいる。刃衣さんのようにただ傍観する立場の人間もいる。天女は学園全ての者を誑かしたと思っているだろうが、意外にも、掌握した人数は少ない」
「ただ、少ないとはいえ掌握した輩は精鋭ばかり。素晴らしい人選具合に、涙が出ます」
沙衣先輩たちがいらっしゃれば…その呟きは意味のない戯言。
「情報は流しているのだろう?」
「勿論です。どこから流れたか分からないようにひっそりと。積極的に噂を流してはおりません」
「当然だね」
すーっと二対の視線が刃衣に移る。その瞳には若干の狂気。
「ここまで聞いてしまったからには」
「刃衣さんに協力して頂く他御座いません」
「いや、あんたらが勝手に喋っただけやろうが!?」
刃衣が言う弁明は勿論のこと、無効である。
「まあ酷い仰りよう。刃衣さんは事実を知りに来たのでしょう? 簡潔に申すのならば、天女が忍術学園の精鋭ともいえる六年五年、準精鋭の四年、補欠の三年を謎の誘惑術で籠絡したわけです。」
そればかりか……。と志帆はわなわなと怒りで体を震わせる。
「あのアマ…くノ一教室に部屋をもらったばかりか…一人では心細いから、と汐ちゃんを連れていきやがりまして……いつ汐ちゃんに会ったんだよあのクソアマ……」
「志帆。言葉」
崩れた言葉遣いに明菜が注意をすると、オホホホと口元に手をあてる。
「申し訳ございません。とにかく、汐ちゃんを常に連れ歩きまして、私は近寄れません。汐ちゃんを誘おうにもあのアマついてくるし、二人だけでお話がとか言うと私は邪魔者なのねと大声で喚きやがりますし。まあ邪魔者なのは事実ですが。始末に負えないんです」
「…私も、三郎たちに言ったんだよ。あの子は危ない。危険な子だって。そしたら……」
瞳が潤み、滴がぽろりと頬を滑り落ちた。
「明菜先輩。それ以上は言わなくて良いですよ……。悪いのは天女とそれに籠絡された先輩方です」
背中をあやす様に撫で、志帆は優しい声音で慰める。
視線がまた刃衣にぴたりと合わせられる。
片方は懇願に似た、しかしどこか諦めかけた笑みを、片方は決意のこもった嫣然とした微笑み。
「皆とまた笑顔で話せるように」
「汐ちゃんをこの手に取り戻すために」
左右からぬぅっと紺色と桃色が刃衣へと伸びる。
「「お手をお貸しくださいますよね。優しい優しい刃衣さん」」
両腕をそれぞれ掴まれ、刃衣は逃げられないとそう確信した。
溺れる者は藁をも掴み、藁諸共水に沈むのか、藁を利用して岸へと上がるのか。
志帆と明菜は刃衣をゲットした。
刃衣を装備しますか?
→はい
いいえ
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09/16 COMIC CITY 福岡30:M48b
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かんたんなはなし(タカ綾)
この好きは『好き』でいいのでしょうか?(次浦+綾)
私は彼女が幸せであるよう希う(再録:私が彼を嫌いな理由。&ハッピーエンドをつかみとれ!)(次浦+綾)
海に関するetc.(次浦+綾(タカ綾))
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